「キミモヨウ2」
「あれ〜?蜜柑ちゃん筆箱変えたの?」
蜜柑の机の上に置いてある新しい筆箱を発見すると、素早く野之子ちゃんが身を乗り出し興味津々にそう言った。
「うん!ピンクの花模様〜」
気づいてくれた野之子ちゃんに嬉しそうなスマイルをお届けして、机の筆箱を両手に乗せると嬉しそうにそれを野之子ちゃんに近づけ、見せた。
「可愛いね〜」
「ね〜」
なんて、言葉を重ねる可憐な少女達。
そして、そんな光景を不愉快な表情で見る少年一人。
ー棗だ。
会話が終わり、野之子ちゃんが蜜柑から離れていくと、待ってましたとばかりに棗がずずいと蜜柑に近づいてきた。顔はむっすーとしていて不機嫌だ。
「おい、水玉」
「うん?」
『水玉』それはもう前々から言われているので慣れていた。
だから、何の文句も言わず、少年に返事を返す。
「お前は水玉じゃない」
不機嫌そうな、でも真剣にそう語った少年。いきなり『水玉じゃない』そう言われても困る。誰だってその言葉に疑問を感じるし、困るだろう。
「…へ?まあ、ウチは水玉やないけど……」
『棗が言い始めたんやん』と最後に付け足す。
少年はまだ真剣な顔のままだ。真剣な顔で、ただただ、此方を真っ直ぐと見詰めている。自身に対してそんなに真剣な表情をする少年等あまり見た事がないから少し心臓の音が激しかった。
「…水玉じゃ、ない………」
また少年は同じ事を言う。
「……な、何なん…。どうしたん棗……?」
理解が出来ない。誰だってそう思う。頭の上にクエスチョンマークを浮かべる少女。理解していない少女に苛立ったのか、ついに少年のその細い眉毛が大きくつり上がった。つり上がったかと思えば、ぼっという音と同時に自身の髪の毛に熱さを感じた。
ー燃えている。
「燃えろ馬鹿ブス!!」
そう乱暴に投げ捨てると髪についた火を必死に消そうとしている少女を放っておき、さっさと教室を出て行ってしまった。
今日の彼は何だか一段とヤケクソで、自分勝手である。
「阿呆棗ーー!!!ウチなんもしとらんやんけーーーー!!!」
叫んだ虚しい声は聞こえているのかいないのか。
バン!!
教室のドアを思い切り閉める。
思うように行かないこの気持ちと、訳の分からない初めて感じた自身の気持ちに苛立って、荒々しく壁を蹴った。
「……つまんねぇ…」
そう静かに呟いた言葉は何の意味を示しているのやら。
END
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はい、キミモヨウ第二段。
いや、第二段って訳じゃないけど…。
まぁ、棗の水玉パンツへの恋しさ第二段とでも言っておきますか。
→もっと怪しい「キミモヨウ1」はこちら。