(流架くんと蜜柑ちゃん)
偶然少女と二人で帰れる機会があって、動物フェロモンの少年は緊張していた。
然し、そんな少年とは裏腹に少女は何時もの様な笑顔で、止まらないお喋りをしながら隣で楽しそうに歩いていた。自身も何か話題を出さなければ、そう思いながら頭を抱えていると、少女の方がまた新しい話題を持ち出した。
「なあ流架ぴょん。"天然"って何?」
「えっ!?」
いきなり出された質問に、少年は必要以上のオーバーリアクションをしてしまう。其れに少し後悔していると、少女が質問の答えを聞きたいと急かしてきた。
「なあ、教えて?」
きっと誰かに言われたんだろう、少年は少女を見てそんな事を思いながら天然という意味について少女に説明した。
「えっと、天然っていうのは…」
例をあげれば、"勘違いする人、ピントが外れている人、よく理解できない人"というものがある。然し、一番の天然の意味というのはこれだ。"話が噛み合っていないのに、其れに自覚がない人"。まあ、ある意味少女は天然という言葉が合っているのかもしれない。
「ふぅん。ウチと全く正反対やんっ」
「あはは、そうだね」
言われた言葉を思い出したのか、ぷうと頬を膨らませて怒る少女が可愛らしい。其れが面白くて、自身も話を合わせた。
眩しかった太陽が穏やかになって、真っ赤になった光が頬を撫でた。少女が女子寮と男子寮の境で笑顔で手を振る。夕日に照らされた少女が綺麗で、見惚れながらも手を振り返した。
ーやはり、好きだと思った。欲しいと思った。
ーけど君は、
「…やっぱり、佐倉は"天然"だよ……」
後姿に、小さな声で文句を言った。
伝わらないのは、
(彼女の真っ白な脳)
*
でも、やっぱり君は僕の気持ちに自覚を持ってくれないし、天然だよ、と。どこから天然でどこから鈍いっていうのかよくわからない。一緒なのかな?