(棗くんと蜜柑ちゃん)


何時だったか、こう聞かれた事がある。其れはまだ、彼女と出会ったばかりの頃で。
其の笑顔と声を聞く度に異常に腹が立った。
「なあ、棗って太陽好き?」
彼女は、真上にある大きな眩しい其れを指差して、そう問うた。自身は、"きらい"と即答した。正直、彼女と話していたくはなかった。そんな自身の言葉にムッときたのか、彼女も直ぐに言葉を返してきた。
「なんで!?」
「てめぇみたいだから」
「はあっっ!!?」
彼女と目も合わさずに、自身が吐き捨てる様にそう呟くと、彼女はブラウンの眉を急カーブさせた。そんな彼女に追い討ちをかける様に、自身は裏庭に向かう其の後姿で、皮肉な言葉を付け足した。
「無駄に明るくて、うぜぇんだよ。」
"自分が汚れて見えて"と、もう一つ心の中で付け足したのは弱音だった。
要らない明るさを他人に振り撒いて、投げかけて、自身と正反対の其れに正直憎らしさを感じていた。何にも考えていない其の真っ白な頭と眩しい笑顔は、如何にも純粋そのものだったから。眩しすぎて自身が哀れに感じた。悲惨だと思った。

其の後彼女は、去っていく自身の背中目掛けて、何度も怒鳴ってきた。泣きそうな顔をして。
何故、泣きそうになるのか。何故、人の為に泣けるのか。お人好しも好い加減にしろ。
其の頃の自身にはそう思う他無かったし、怒鳴っている彼女についても何も感じなかった。
向かってくる怒鳴り声でさえ、耳に入らなかった。

然し、自身の心は月日が経つにつれ、少しずつ変化してきて…。
彼女への目線も今となっては全く違う。


そして、また聞かれた其の言葉。



「…棗って、太陽好き?」

自然と緩む口元。思わず吹き出しそうになってしまう程。
その時の彼女の表情は見ていなかったが、きっととても驚いていた筈。
何せ、こんな風に自身が笑みを溢すのは、本当に珍しい事だから。

さあ、言ってあげようか。伝えてあげようか。
何時かの泣きそうな怒鳴り声をあげる彼女が頭に蘇ってきたが、今はそんな顔はさせやしない。
今、心にあるのは、大きな大きな暖かいもの。君がくれた、大切な…。
「―嫌いじゃない。」
「…へ?何で?」
嫌いと言っていたのに、という表情をする彼女の顔が面白かった。
其の侭、前と同じ様に彼女を置いて裏庭に向かっていく。彼女は後ろで呆然としていた。
前と全く同じ行動だが、気持ちと言葉は前とは全く違う。表情は、少しだけ明るくなって。
ー本当は、好きと言っても良いのだけど。
「お前みたいだから」
「…う、ち……?」
背を向けていた体をくるりと彼女の方に向けて、そう呟く。彼女は、大きな瞳を白黒させてただ其処で突っ立っていた。思いもしなかった自身の言葉に、彼女は戸惑っている様だった。

「…何時も、きらきらしてて、飽きない。」
"自分の心が浄化されていくようで"と、もう一つ心の中で付け足したのは唯一の光だった。
彼女を見ていると、自身の存在価値を否定されている様で怖かった。近づきたくないと思った。
然し、今は彼女がいるからこそ自分に自信が持てたのだと、強く感じる。
太陽の光は、とんでもないものだ、と。


「ばーか。何真っ赤んなってんだよ」
自身にとって太陽は、きっとかけがえのないものー。




sunlight

(変わってゆく存在)




過去にメモっといたネタ、今更制作しました。
ネタばっか思いついて制作しようとしないんでめっちゃネタがたまってるんですよ…。
助けて下さい…涙 今見て『何書こうとしたんだ私…』ってものもたくさん…。
50ネタくらいありますよ多分…じょじょに減らしていきます…。