「異なりはきっかけ」
人間とは、自分と違う物に興味を抱くものだ。
「なつめっ」
「なつめーー?」
「なっつめーー!」
「なーーつーーめーーーっっ!!」
ばこっ
「あぎゃっ!!」
鈍い音をたてて殴ったのはツインテールの少女の頭。
少女は痛そうに叩かれた頭を両手で抑えていた。
そして怒りを振り撒く。
「っっ何すんねん!!」
「てめぇがうるせーからだろ」
「あんたが返事せんからや!!」
そう小さな喧嘩をしてお互い拗ねるのは何時もの事で。
何一つ、交わろうとしない。反発ばかり。
その理由は、お互いの性格が正反対だからだろうか。
ハイテンションで人懐っこい蜜柑に対して、
棗は無愛想でクールで、どちらかと冷たい方。
だから、時々意見が食い違って反発しあう。
「なあ。棗、ヨーグルト好き?」
「何でだよ」
「さっき、鳴海先生からもらってん。あんたに一個あげる」
見てみれば少女の小さな掌にはニ、三個程のヨーグルトがあって。
その中の一個をもう片方の手に取ると、蜜柑はそれを棗に差し出した。
しかし、棗は受け取る気配がない。
「いらね」
その言葉で少女の眉が一気に急カーブしたのが分かった。
「何でっ!?美味しいんにっっ」
「甘いもん苦手」
「はああーー!?」
さらりと言い捨てる棗に、さすがの蜜柑もしょんぼり。
でも、何かに気づいたのか、直ぐに表情は元に戻った。
「ウチとあんたってあんま合わへんよな」
前から思っててんけど、と最後に少女は付け足す。
少年は行き成りの少女の言葉にきょとんとしている。
それから、少女の『どっち質問』が始まった。
「ハンバーグとお寿司やったらどっちが好き?」
その言葉に少年はあっさりと…
「すし」
そう答えた。
しかしその刹那、また少女の眉が大きくカーブする。
どうやら、少女は『ハンバーグ』だったらしい。
だが、直ぐに気を取り直して質問を進める。
何度かやっていれば、一つは同じものがあるかもしれないから。
「カレーには牛乳?水?」
「水」
「えっ、ウチ牛乳…っ」
「目玉焼きには醤油!?ソース!?」
「ソース」
「ウチ醤油なんやけどぉ!!!」
しかし。
何度やっても答えは同じで。
一つも統一される事はない。
「これでどうや!りんごジュースとコーヒー!」
「甘いもん苦手だって」
「っ嘘やろーー!!?」
あれからどのくらい経ったのか。
ただ分かるのは、暗いオーラを出して蜜柑が地面に倒れこんでいるという事だ。
どうやら、一回も蜜柑と棗が同じ答えを出した事がなかったらしい。
「…こ…ここまで合わへんかったなんて……っっ」
ここまでくれば落ち込むしかない。
倒れこんでいる蜜柑の横で、棗は呆れたように突っ立っていた。
「はあ」
息を一つ吐くと、棗は倒れこんでいる蜜柑の腕を引き上げた。
もう下校時間はとっくに過ぎているのだ。
棗はそのまま蜜柑の腕を引いて寮への道を歩いていく。
そして途中、ある質問をした。
「お前、俺の事好き?」
「……っは!?」
思いもよらぬ質問。
行き成りの事に蜜柑の顔は真っ赤。
「どうなんだよ」
「ななな何で!?」
「なんでも」
行き成りそんな事言われても。
蜜柑は少し黙り込んでから大きく深呼吸した。
答えを言うために。
「…す……好き……やけど…」
「…俺も好き。それで良いじゃねえか」
「……そ…そうやね…」
人間とは、自分と違う物に興味を抱くものだ。
何ひとつ噛み合わなくても、其れは自然と惹かれ合う。
だからこそ、惹かれ合うのだ。
そう、異なりはきっかけ。
END
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めっちゃ前に書いてたものがUPされてなかったので今更…。
書きかけとかネタとかめっちゃ残ってるんですけどどうしましょ…