「kissから始まる事件」
そういえばした事なかったな、なんて。
『棗さんは当然キスした事ありますよね?』
其の話で盛り上がっていたのか何なのか知らないが、教室に入ったら其の話題が自身に向けられた。彼等は当然自身が経験済だと思っているらしい。
然し、そうではなかった。実際、今までキスをしたい、と思った事がなかったから。好きな女もいなかったし。
「ねえよ。」
「えっ棗さんもないんすか!?意外!」
どんな印象を持たれていたんだ俺は。そう少し不機嫌に思いながらも、そんな会話で興奮している取り巻き達を馬鹿にした目で見ていた。
「キスってどんなんだろーしてみてぇ」
「あっでも俺したことあるかも!」
「まじで!?」
「…いや、近所のおばさんに罰ゲームでなんだけどさ…」
「うわー…お前悲惨だな。俺トラウマになりそう」
そんな馬鹿らしい会話を聞き流していると、ふとある人物が目に付いた。きーんと響く様な金切り声を出しながら笑う何時ものあれだ。其の瞬間、面白い事を思いついて一気に悪戯心に火が付いた。くいっと緩んだ少年の口元に気づいて、取り巻きの一人が尋ねた。
「どうしたんすか棗さん?」
そう問われると、少年は行き成り椅子から立ち上がり、先程見た少女の方を指差した。取り巻き達の目線は一気に少女に移った。
「…キス、見たいか?」
・
・
「えーっ翼先輩もう戻っちゃうの?」
「ああ。もうチャイム鳴るしー」
教室には、少女にとって頼れる一番の先輩が、用があったのか来ていた。然し、もう次の授業のチャイムが鳴ってしまう為、青年は教室に戻ろうとした。
然し、窓際の席からゆっくりと此方に向かってくる少年の姿に気づくと、青年は足を止めた。奥では何人かの取り巻きが硬直した様子で此方を見詰めている。何とも不思議な光景だった。
「…おい、棗が来んぞ」
「ふえ?」
そう言われ、少女が後ろを振り向いた時にはもう少年が目の前まで来ていて。少年は青年の存在に気が付いたのか、ぎろりと青年を睨み込んでいる。青年は其れを見て苦笑いするしか無かった。
然し、次の瞬間其の苦笑いが唖然とした表情に化すとは…。
「なんや、なつ………」
途端、少女の愛らしい声は奪われ、クラス中に取り巻き達の興奮した声が響きまくった。生徒全員の目に映ったのは衝撃的とも云える少年と少女の濃厚なキス。少女は行き成りの事に理解が出来ないらしく、顔を真っ赤にして硬直している。少年はというと、少女の肩を軽く抑えながら角度を変える深いキスをしていた。
其れを間近で見ていた先輩の目は点。少女の親友であるクールな少女でさえ吃驚して修理道具を落としていた。
そして女子の悲鳴、男子の興奮した声、お決まりの犬猫体質少女の奇声。
「棗君いやあああああっっっっ!!私との約束はあああああっっっ」
「約束したのはあんたの妄想だろ」
そしてやっぱりつっこみ。
「さすが棗さああああああん!!!!」
やっと唇が離れると少女は力が抜けてしまったのか顔をトマトみたいに真っ赤にしながら、ぺたんと座り込んでしまった。
其れを見下ろし、少年は悪戯笑みを浮かべると、さっさと席に戻ってしまった。
然し、硬直してしまったのは少女だけでは無い。
其れ以上に硬直し、肩をふるふると震わせていた人物が一人。
「うらあ棗えええ!!俺の蜜柑に何すんだああ父ちゃんは許さんぞおお!!」
「わああああーーん!!!ウチのファーストキスがあああああ!!!」
「せめて挨拶してからそういう事はs〜〜〜〜〜〜〜っっっ!!!」
(……馬鹿か、こいつら)
其の後、棗は翼に付き纏われる事になる。
END
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別に話の意味はないです!!!すごい適当です!!
進むにつれ面倒臭くなったのでギャグにしましたというオチ。
なんかほんとすごい適当!!