『水玉…俺………』
『ん?』

『………好きだ』

『………へっ?』
『…好きだって言ってんだよっ』


『……ウチも好き…。』









はつゆめ まさゆめ





初夢…それは、年の最初に見る夢…。
正夢…それは、夢で見たとおりのことが実際に起こった夢のことをいう…。

そして今…一人の少女が初夢から目を覚ました。
ベッドから勢いよく身を起こした少女はたらりと汗をかきながら荒い息をたてていた。


ゆ め を み た 。

ナ  ツ  メ  ノ  ユ  メ  。

夢だから、そうはっきりは覚えてはいないがこの場面だけは頭から離れずにいた。
棗が真剣な顔でいつもの『水玉』のあだ名を呼び、『好きだ』と言ってくる夢。


『水玉…俺……』
『ん?』

『………好きだ』

『………へっ?』
『…好きだって言ってんだよっ』


『……ウチも好き…。』















" ウ チ も 好 き "

「………ウチは何言っとるんや…。」

そう小さく言うと蜜柑は汗ばんだ額を小さな手で参ったという風に押し当てた。
そして、軽く前髪をくしゃりと押しつぶす。

ウチは棗のことが好きなんやろうか…?
前は人から聞かれたら迷わずに『嫌い』って答えとったんけど……

今は……

嫌いとはいえへんな…好き……………
…………ようわからん。

っちゅーか、その前に棗がウチんこと好きって…………ありえへんやんか。

















初夢って正夢になるっていう…。
『これがホンマやったら……』そう思うと、本当に参ったものだ…。
自分が棗を好きかどうかまだ整理もつかないのにこんな夢が正夢になるとは…。
それに夢の自分は、自分の答えすらもう決まっているだなんて…。
『ウチも好き』…蜜柑のその言葉ばかり頭の中でまわっていた。





今朝の夢のことを考えながら教室に入った。
教室は、いつものようにガヤガヤと盛り上がっていた。
やはり、新年早々『初夢』の話が盛り上がっているようだ。

『私、お母さんにもらったブレスレットなくしちゃったんだ。それで今日ブレスレットが棚の下にはさまってる夢みて、その後棚の下を見てみたら本当にあったの!』
『俺さ!今日朝食にサンドイッチがでる夢見たんだぜ!そしたら本当にサンドイッチだったんだ!』


「…―――みんな結構正夢になってるんやぁ〜…。」

「おはよう蜜柑。」
「あっ、ほたるぅうーー!!」
「新年早々抱きつかないでよ。うっとおしい」

「…蛍、今日初夢見た?」
「そんなの覚えてないわよ。」
「…そっかぁ」
「あんたは見たの?」
「…………見たんは見たねんけど…。」
「どんな?」

「………………い、言えへんっ」
「………あっそ。」
「…蛍、許して〜やぁ!ウチには蛍にも言えへんことが…っ(泣)」
バカン!!!
「ふぅ。許すもなにも、別にそこまでしてあんたの夢なんか聞きたくないし。」
「ほたるうぅーーー!!(泣)」
「だから抱きつかないでよ。」








「――先生来るけど。席ついたら?」
「……あ、うん…。」


ウチの席って……棗のトナリなんやよなぁ……。
どうにしてええか全くわからへん…。

そう思いながら、しぶしぶ席についた。棗は頬に手を当てながらひじをついていた。
いつもと変わらぬ光景。けど、今日はどうしていいか解らない。

「佐倉!!」
「(ビク!!)ふぇっ!?」
「…あれ?驚かしちゃったか?ごめん。」
「なんや、流架ぴょんかぁ…。ううん、いいんよ…なんか用なん?」

棗のひとつ向こう側の席から流架が喋ってきた。
棗をあいだに喋る………なんと気まずい光景なのだろうか。

「実は、初夢―――」
「告白なんてされとらんよ!!!!?」


「――――――――えっ!?」
「…はっ!!」


――――――――――――ヤバ。

流架の『初夢』の言葉で必要以上に反応してしまったのだ。
あまりのでかい声に周りの生徒たちもいっせいに蜜柑の方を向いた。
そして……棗までも。







「…あっ!ちゃ、ちゃうちゃう!ウチの話やなくて…!い、いとこ!いとこの話!あ、アハハ!!」
「…な〜んだぁ。いとこかぁ。」

蜜柑のその言葉で話はおさまり、周りの生徒は自分らの話にまた戻った。
…が。

「実はさ…俺今日佐倉の夢見たんだっ。で、こうして佐倉と話して――…///」
「蜜柑っ、ちょっと来なさいっ!」
「…蛍っ!?あっ、ごめん流架ぴょん!じゃっ!」

たたたたっ

「えっ…お、おい!」


―――――――――――…………。

流架の肩にぴょんと乗ったうさぎんは流架に『ドンマイ』と軽く囁いたような気がした。
流架ぴょんの出番……これにて幕を閉じた。棗は、いつのまにかいなかった。

















「…今朝から変だと思ってたけど……やっぱりね。」
「気づいとったん…?」
「あんた解りやすいから。」

口は悪いけど心ではごっつ心配してくれる蛍。
ウチはそんな蛍が大好きなんや…。

「…………で、何があったの。」

「―――――――――――………棗の夢…みたんよ…。」


それから、ウチは今日の夢のことを蛍に話しました。
どうしたらよいか解らないということや…
自分はどう思っているかということや……

何から何までぜーんぶ話しました。




「――当たらないかもしれないじゃない。
本当だとしても……自分の素直な今の気持ちを言うだけよ…。」

「蛍……。」
「実際に本当なのか試してみたら?」
「…へっ!!?」
「実際に日向くんのところへ行ってみて確かめてきなさいよ。」
「えっ…!そそそんなん無理に決まってるやんか!!」
「大丈夫よ大丈夫〜。じゃ、私行くから。」
「ちょ…っ!!ほたるぅううーーーーーー!!!!」

蛍はちゃんとウチのことわかっとるんかぁあーーー!?
蛍 の 阿 呆 ― ― ― ― ― ― ― ― ― ! !


















「……棗や…。」

図書室。借りっぱなしだった本を返しにやってきたのだが……偶然にも棗は雑誌を顔にのせながらそこで昼寝をしていた。学園の中でも図書室は静かで昼寝をするかいがあるってやつだろうか。

担当の先生は居ない。しょうがなく蜜柑は図書室で先生をまつことになった。
図書室は棗と蜜柑以外には誰もいなかった。運悪く、二人きりになってしまった。

そして、また運悪く棗のトナリの席以外はワックスがけをしてあるらしく、座れない。
わざとかこれは……と思ったが、蜜柑はしょうがなく棗のトナリに座ることにした。
まぁ、棗は寝ているし……起きているよりかは気が楽だった。

そして、待っている間…棚から一冊の本を取り出すとドキドキしながらも本を読み始める蜜柑。
緊張している為か、内容は頭にすいすいとは入らない。混乱していたのだ。



『実際に日向くんのところへ行ってみて確かめてきなさいよ。』
蛍の言葉……確かめてみようかな……。

そう思い、蜜柑は眠っている棗の方を向くと下唇をきゅっと噛んだ。
そして、緊張の為か服の裾をぎゅっと握る。

「あ、あの……なつ…」
「水玉…………」

えっ――――――…起きてる…………?



「水玉…俺………」


もしかして……これは………。

「……ん…?」

わぁぁ…
心臓がドキドキいってるよ……。









「――――その本好きだ」


―――――――――……





「………へっ?」

「その本好きだって言ってんだよっ、お前が読んでる本っ」



嗚呼……そういう意味…。
ウチ馬鹿やった……。




「………………ウチも好き…。」





〜おまけ〜

「そういえば……お前告白されたのかよ?」
「……うっさいわ…。」


END
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すみません、期待させちゃって(汗)新年ってことでこんなアイデア浮かびましたよ。
たいした小説じゃないですけど…(苦笑)というか部分的に面倒くさくなって会話ばっかのところがありましたが、気にせずに(マテ)その本好きっていう意味でした。はい。
なんか蜜柑ちゃんが可哀想ですが…まぁ、許して下さいっ、ああっ石をなげないで下さいっ。
というか、全然蜜柑ちゃんの誕生日祝いになっていないような……(汗
棗も蛍もおめでとうも言ってないしね。その前に蜜柑も誕生日だってこと語ってないしね。
ああーー!今回は許して下さい!!まぁ、夢が蜜柑へのプレゼントってことで…(マテ
ということで2004年も宜しくお願い致しますっ&蜜柑誕生日おめでとう!