「ウチ、結婚の約束した人がおったんよ」
「は?あんたが?」
「うん〜。よう覚えてへんけど四歳の時にぃ」


「気づかぬ再会」


ウチは、四歳頃まで蛍みたいに色んな幼稚園に転校したりしていた。その時、確か、ある男の子と結婚の約束をしたっけ。その人は、同じひまわり組の男の子。何かと、自身につっかかってきて、最初の頃はあまり良い気分はしなかったけれど、何時の間にか自身は、その男の子に惹かれていた。

そして、また転校が決まり、その幼稚園に居られる最後の日…


『もっと大きくなったら絶対蜜柑を迎えにいくから…
―――その時は、俺と結婚して』

そう言われて、可愛い小さな誓いのキスをしたのを覚えてる。
自身のファーストキスはその男の子とだった。




「…で、ずっと会ってないの?」
蛍は聞きながら、そう問うた。
「うーん、そうなんよねぇ」
「まあ、幼稚園時代の恋愛なんてそんなもんよ」
「そうかなぁあ〜」



思い出す。
あの男の子と初めて話したあの時。
転校生で、少し緊張気味の自身に……

ぴらんっ
『っっっっ!!?』
『だっせー水玉パンツー』
『へっ、へへへ変態!!!!』


『俺の名前、    。覚えとけよ?』




「………あれ???」
「どうしたの、蜜柑?」

―――…名前なんやったっけ。
記憶を一生懸命弄っても、名前を言うその部分だけすっぽり抜けていた。よく、記憶の少年に『忘れるんじゃねぇぞ』とよく言われていたが。完璧に忘れてしまった。
「なんやったっけ…?えっと…確か、な…な、なるみ…君?」
「え……ナル?……ナルなの…?」
「い、いや!ちゃう!鳴海先生やない!ええと……なな…な、…」
最初に『な』がつく事は覚えてるんやけどなぁ。

とにかく。
『また会えたら良いなぁ』なんて思った。


「あ!次理科室やで蛍!行こ!」
そう言って、思い切り椅子から飛び起きて、後ろに居る蛍を見ながら小走りしていくと、誰かにぶつかった。
驚いて、ぶつかった相手を恐る恐る見てみると、其処には黒髪少年と後ろにはその親友の動物フェロモンの少年。
「ってぇなブス。気をつけろ」
「ご、ごめん!……でもブスは余計!!」
そう小さな喧嘩をしてから、蛍の腕を引いて走り出した。

「…ねぇ、最初に『な』がつくって言ってたわよね?」
「え〜うん?」
走りながら、蛍が聞いてくる。


「それって日向君の事じゃなくて?」
「………ええ〜〜〜〜……ありえへん!ありえへん!!」

ー確かに、頭に浮ぶあたりでは顔つきは似てるかもしれないけど…
でも、もっとあの子は幸せそうな顔をしていた。

―――恵まれた顔をしていた。









「で、棗?その子の名前って?」
「……それがよく覚えてねぇんだよ」
「何で…。普通覚えてるでしょ?初恋の子なんだし」




「その後、色々あったから……………
――――――…覚えてる余裕なかった」
「……そっか…」

あの時は幸せだったんだ。あの時は。
けど、君が去った後、僕に闇が襲ってきたから。

だから、僕は君の名前を覚えていません。




『もっと大きくなったら絶対蜜柑を迎えにいくから…
―――その時は、俺と結婚して』



「「また会えるかなあ……」」



何時か君を思い出す。
何時か貴方を思い出す。
その時、結婚してくれますか?


END
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メモに書く小説はもう色々適当なんで気にしないで下さい。
ええと、蜜柑は私の設定では、四歳くらいまでは色々幼稚園をてんてんとしてました。
それでその後は、ずっと関西に住んでることになってます。
なので、今回の話の時代の蜜柑ちゃんはまだ標準語(ってか喋る場面なかったけど)

勿論、相手はそれぞれ、蜜柑、棗です。
蜜柑は、相変わらずの馬鹿さで覚えてないだけ。
でも、棗は色々つらいことがあったため、覚えてる余裕もなにもなかったので、無理です(ぇ
それで、知らぬうちに再会。
覚えてるバージョンも作りたいなぁ(棗が
あれ〜?四歳って幼稚園?まあいいや