maybe love you









最近、よく皆から言われる事。

『棗君ってさ、もしかして蜜柑ちゃんの事好きなんじゃない?』


他の子なら兎も角、棗だという事に蜜柑は顔を真っ赤にするも何もなかった。

(…せやかて、ありえへんやん)


授業中、シャーペンを口上に乗せながら、先程も言われたその会話を振り返る。

『え〜っ、ありえへんありえへん。
せやかて、棗、ウチんことごっついじめてくるし、嫌ってんやん』
『甘いねぇ、蜜柑ちゃん。
好きな子程いじめたくなる、ってよく言うじゃないっ』
『え……っ、でも…』
『そうだよ!そうだよ!私絶対棗君は蜜柑ちゃんの事好きだと思うなぁ〜』
『……ちょ、』
『なんたって、お化け屋敷でじゃれてた仲だしぃぃ〜〜??』
『…そ、それは!ちが…ッ』
『あ、先生来たから席もどるね!!』
『……なっ…………』


最近、ずっとその調子。
けど、蜜柑は誰に何回言われようと、そんな事信じていなかった。

(…棗やし)





「…おい、ブス」

急に横から、噂されている黒髪少年の声が響き、驚いて思わず口上で転がしていたシャーペンが落ちそうになる。


「な、なに」
「シャーペン転がすその阿呆面【あほづら】どうにかしろ。気に障る」


少し睨みを入れながら、渋々言われるがままに口上で転がしていたシャーペンを取り、机の上に置くと、蜜柑は拗ねたように頬を膨らました。


「そんな顔しても可愛かねぇよ、ブス」


むっかあぁーーーー


「ブスブスいうて!何であんたはウチん事そないに貶すん!?」


蜜柑は、『ブス』の言葉にキレた。
けれど、先生に聞こえないくらいに小さく怒鳴った。
まぁ、それは怒られるのに慣れてくる度にみにつけた知恵という奴だろうか。


「ブスだからブスって言ってんだろ、ブス」


(む〜〜〜か〜〜〜つ〜〜〜く〜〜〜〜〜!!!)



「…っ!知ってるんやから!!あんたがウチをいじめる理由!!

―――あんた、ウチん事好きなんやろ!!?」



しーーーーーーーーん


蜜柑の声はまるぎこえ。
むかつきすぎて、授業という事を忘れてしまったのだろうか。

はっ、と辺りを見渡してみれば、顔を真っ白にして見てくる生徒達。
そして、運悪く、今の授業は算数で……神野先生。


(……ったく、今の小学生は何てハレンチな…(ぇ))

「……佐倉、廊下で立っていろ」




(ええええええーーーーー!!!!!!?)


心配そうに見詰めている流架と、面白そうに見詰める蛍と、無表情で馬鹿にする棗に見詰められながら、蜜柑は渋々文句を言いながら、席から身体を起こした。

(……ううぅ、何でウチが……)


ギロリと、涙目で棗を睨むと、棗はふっと自身に笑ってきた。


「お前なんか好きじゃねーよ」


追い討ちの言葉。
きっと、今蜜柑の頭上には、怒りが鉄の塊となって落ちてきただろう。
そんな棗を再度睨んで、べーっと舌を出して、対抗した。

そして、下を俯きながら、席から離れようとした瞬間。



がしっ

急に棗に手を掴まれた。


「…次はなに!?」


そう言うと、棗はニヤリと笑む。



「――…………メイビー。」



それだけ言うと、何時もの雑誌を顔面に乗せて、寝に入った。
当たり前に、蜜柑はそれに理解が出来ず。


「………??は???」





『お前なんか好きじゃねーよ』
『――…………メイビー。』


ーー多分。




蜜柑がその意味を理解するのは、きっと、授業で英語を習い始めてからだろう。


END
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お前なんか好きじゃねーよ、多分。
多分、君を愛してる かもよ?(謎