こんな治し方はいかが?



放課後。
少しだけ打ち解けた頃からツインテールの少女と黒髪の少年は時々一緒に寮まで帰るらしい。
そして、それがその中のある一日。

「…唇荒れててよう喋れんなぁ……」

と繭を潜めながらカサカサに荒れた唇に手を当てているツインの少女。

「リップクリーム塗ればいいだろ」
「忘れてしもてん…」

阿呆、と軽く彼女のでこを叩いてやれば少女が小さな悲鳴をあげた。その悲鳴をもっと聞きたくて、黒髪の少年は小さな悪戯を思いついた。そして、何時もの様にニヤリと静かに笑う。少年のその笑いは悪戯を思いついた合図でもあって、すぐにツインの少女は少年から離れるように身を腕で囲んだ。

(何されるか分からへんもん…)



「人間の唾って…リップクリームより効くらしいぜ?」
「ほんまに!?」

と、予想外にも少年が為になる事を言ってくれるので少女は安心してまた少年に近づいた。
それまでも彼の悪戯だとも気づかずに…。

少女は少年の言ったとおり、自分のカサカサになった唇を口の中の唾に絡め取るように口を動かした。そうして自分の唾で荒れた唇をを治すつもりなのだ。けれど、それは急に目の前に迫った影で…




「……っん…」

安心しきっていたのも束の間、すぐにその無防備な唇を黒髪少年に奪われた。荒れている部分を中心に吸い付くように己の唾で口付ける。優しく、時に強く触れると彼女が苦しくないように一瞬離れる。離れて彼女の小さな声が漏れようとした時にそれを塞ぐようにまた口付けた。



やっと離れたそれ。触れるととても熱いことが分かる頬に少女はまたそれに顔を真っ赤にした。
そして、目の前を見てみると悪戯っぽく笑っている彼の顔。




「ばーか、リップの方が効くに決まってんだろ」
「………っっ!!!??///;」



そう言い捨てて彼は彼女を置いて歩いて行ってしまった。
それを後ろで見つつ、口をパクパクさせながら後悔した。




「棗の阿呆!!!!!!!//;」


と、よく喋れなかった筈の少女が今日始めての大声をあげた。
ってことは……ある意味効果はあったかもしれない。


END....

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ってか『悪戯』とかいて『いたずら』とも読むんだ。
知らなかった…(知らなかったのかよ!!?