……じーちゃん…。
じーちゃん…会いたい…。

寂しいねん…ウチ、寂しいねん…。

夢でもええわ…幻覚でもええわ……


――じーちゃんに会わしてやぁ…。






僕 が 君 に で き る こ と



―――――じーちゃん!じーちゃん!聞いてえや!
ウチ、逆上がりできるようなったんよ!まだ学校の子は一人も出来る子えーへん!
ウチ一番に出来るようなったんや!すごいやろ!?

おお蜜柑!ついに出来るようなったんかぁ!なんでも一番に出来るようなるなぁ蜜柑は。
わしの孫は天才になるかもしれんなぁ!

へへ!当たり前やろぉ!ウチは将来、なんかの天才になるんやぁ!応援しといてーなぁ!

きゃははは!――――…





――――なぁ…じーちゃん……なんでウチにはお父さんやお母さん…いーへんの…?ウチの友達の家に遊び行くとなぁ…友達のお母さんが…おかえり…って………いっつもなぁ……出迎えて……くれるん…っ。ウチなぁ…それ見ると…なぁ…なんだか辛く…なんねん…っ。目からなぁ…お水がでてはんねん…。

…………蜜柑…。お母はんや、お父はんよりなぁ…じーちゃんがおる方がお得なんじゃぞ?
千倍…いや、一億倍はお得なんじゃぞ?せやからお前は他の子よりラッキーなんや!

………ホンマ…?ウチ、他の子よりお得なん…?ラッキーなん…?

そや!せやからお前は胸はって生きていかんとあかん!
蜜柑、お前は強い子や!そんなことでぐじぐじしてたらあかんで!人間っちゅーもんはなぁ辛いことがたっくさんあって、それを乗り越えていくから強い人間になれるんや!せやから、お前もちょっとやちょっとでくじけちゃあかんぞ!――――お前に涙は似合わんからなぁ…。

…っ…うん…。わかったじーちゃん!ウチ泣かん!!くじけへんで!

そーや!その意気や!
















じーちゃん…じーちゃん………会いたいよ、じーちゃん…

ひっく…うっ…ひっく…っ


嬉しいときがあると、いつも優しく頭をなでてくれた。
悲しいときがあると、一生懸命、優しい言葉で慰めてくれた…。

『蜜柑…お前は強い子や』

じーちゃん……今のウチは強くなんかあらへん…。じーちゃんの事を思い出したからって辛くなって弱くなったウチです…。やっぱり、じーちゃんがおらんと強くなられへんのかなぁ……。














「……眠れねぇ。」

がばっとベッドから腰だけ起き上がると棗はぽつりと呟いた。昼間に寝すぎたのだ。
寝すぎた為か、眠れなくなるのがいつもの事…。そして、眠れないからと言って、寮中を歩き回り、散歩するのもまたいつもの事…。そして、軽くベッドからぴょんと完全に起き上がると、ドアを静かに半分開いた。そして、顔だけひょっこり出し、周りに人が居ないかを伺う。

廊下には誰もいない。それを確認すると棗は両手をすっぽり寝時用のジーパンのポケットに入れるとすました顔で部屋を出て行った。そして"ある部屋"を通り過ぎようとした。けど、その部屋から聞こえるなにかに棗は足を止めた。

ひっく…ひっ…く…

(……泣き声?)

その部屋の名前を見てみると…
『MIKAN SAKURA』(佐倉 蜜柑)

(…水玉が……泣いてんのか…?)

あの女が泣くはずがない…そう思っていたけれど、まさか…。
棗は、試しにその部屋のドアノブに手をかけた。すると…




ガチャ…

(……無用心な奴だな…。変な奴にでも入られたらどうすんだ…。)

そんな事を思いながら、気づかれぬよう静かに入り、また静かにドアを閉めた。
そして、ベッドの方へ顔を向ける……目に映ったのはでっかい枕を体全体で強く抱きしめている、いつも目線に映るあの少女。…やはり、蜜柑だ。いつも強そうに見える少女も、このときばかりは何故かとてもか弱い一人の少女に見えた。前にもそう見えた事があった…。確か前に彼女が蛍と話している時に偶然耳にした時…こんな事を言っていた。

『夜はいやや…。寂しくなるん…。じーちゃんを思い出すんよ…じーちゃんに会いたくなるんよ…。』

その時の彼女も、また今のように小さく感じたのだ。いつも強そうに見えてもやはり蜜柑は蜜柑で女の子だ。心細くないときなんてないだろうに…。けど、この少女はいつもそれを隠していた。




「…じー…ちゃん……会いたい…」
「………。」

棗は、何を思うのかずっと蜜柑を見詰めていた。
そして、自然に…彼女の震える手を両手で固く握り締めてやった。
そして、軽く蜜柑の唇に自分の唇を押し当てた。

蜜柑は、少し安心したのかその手を固く握り返した。蜜柑は、棗がいる事など知らない。
まだ、眠りに落ちているのだから。





何時間経ったのか…。棗はまだ蜜柑の手を握り締めていた。
蜜柑の寝息も落ち着いてきたと思った。けど…

「…うっ……じーちゃん…っ」

また、苦しそうに祖父の名を呼ぶようになった。こればかりは棗はどうしようも出来ない。
ついには、蜜柑は自分から追い払うように棗の手を離してしまった。

棗は、悔しそうに自分の下唇を強く噛むと乱暴に部屋から出て行った。
向かう先は、自分の部屋ではなく、もうひとつのある部屋だった。








ガンガン!ガン!

棗は、乱暴にその部屋のドアを叩いた。
少しの間が空いてから、そのドアが静かに開けられた。

「――こんな夜中に……って、棗くん!?」


――――俺にはあいつに何もしてやれねぇから………。


「……委員長。









――――――――――――――――頼みがあるんだ…。」

















「うっ…じーちゃ……ひっく…っ」
『蜜柑…』
『蜜柑…蜜柑……っ』


「…………………じー…ちゃん……?」

目の前に移ったのは、希望の光。
求めていた人。

『蜜柑…』
「…っじーちゃん!!!どうしてここに!?」


『蜜柑……お前は強い子だと言ったじゃろ…?』
「じー…ちゃん…」

『蜜柑…お前はわしの孫じゃ…。お前は天才になるんじゃなかったんか?約束したじゃろ…応援してと…。だから、じーちゃん応援しとったのに…お前がそれじゃじーちゃんも応援する気になんかなれん…。』

「…じーちゃん………ごめん…っ」
『もう一度言うぞ蜜柑……







―――――――――――――――お前は強い子や。』

ウチん中でなにか弾けた音がした。
今までではなかった何かが弾けたような気がした―。

今のままじゃあかん。ウチは強くならんとあかん。じーちゃんが傍におらんでも強く生きていかなあかん。じーちゃんは、それをウチに気づかせてくれた…。ウチ、絶対天才になるっ。だからじーちゃん応援しといてやっ―。

じーちゃんは、そう言った後に光になって、消えました。
夢でもええ…幻覚でもええ……会えてよかった…。







「…安心して、寝たみたいだな。」
「それにしても、棗くんが蜜柑ちゃんの為に僕の力を借りるなんて…意外と優しいだね。」
「うるせー…。」

俺の力は無力だけど…


――――少しは、お前の為になっただろうか…。



END...
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なんか…結構よく出来た作品かなぁ〜なんてw
ってかじーちゃんの言葉使いとかあんま解らないから変になっちゃったかも。
ってか、棗が委員長に力を借りるなんて…。ああっ、どんどんありえなくなってきたわ!