白と黒…
正反対の色だけど。


       


美術の時間、皆、絵の具と筆を手にとりながら『なに色が好き?』
そんな会話になった。ピンク、赤、黄色…色んな色が次々に会話に出てくる。
質問はまわりにまわり、とうとうツインテールの少女にむけられた。

「ウチは白が好きっ」

悩みもせずに元気よく言った少女の声は高く響いた。
そんな少女にショートカットの大人びた少女が近寄る。

「あんた、この間までピンクって言ってなかったっけ。」
「好きやよ!でも、白って赤をまぜるとピンクになるし、青をまぜると
 水色にもなるやんっ」

蜜柑のその言葉を聞いていた子たちは、ほぉ〜と声をもらした。
蜜柑は、えっへんというような満足気な表情を見せると隣にいた黒髪の
無愛想な少年に『棗は?』と尋ねた。

「………黒。」

棗は、クラス全員が思っていたことを言ってのけた。
何故なら、"彼の色"というのは皆が解るほど黒色だからだ。

「あんた、もっと夢のある色言えへんの?白とか、黄色とか、緑とか。」

そんな蜜柑の声も聞かずに、棗は筆を指で回して遊んでいる。
蜜柑は、無視されることに慣れたのか、ぼーっと何も描かれていない
棗の紙を見つめた。

「……なぁ、その紙、黒で塗りつぶすんかぁ?」
「…これまで黒にする気はねーよ。」
「この紙まで黒にしたら、あんた黒人間になってまうよ。」
「……あ?」
「髪も黒、その紙も黒、心も黒やなんて…」
「喧嘩うってんのか、ブス」
「うってへんよ。
―――――…ただなぁ……」
「…ただ?」

"ただ"その言葉が気になり、棗が蜜柑の顔を覗き込むと、蜜柑は、きゅっと
下唇を噛んで、何故か少しつらそうな表情をしていた。
何秒か経って、また蜜柑の唇が動いた。





「一生、ウチとあんた合わへんのかなぁ…って。」
「……は?」

蜜柑の言っていることの意味が理解出来なく、思わず間の
抜けた声をもらしてしまう。

「ウチら今まで敵同士みたいなもんやったやん。
 今はちょっとずつ棗も心許してくれとるけど…でも、でも…

 黒と白って正反対やん…っ。」


――――――――……

「…黒って、明るい色と平等にまぜても絶対に
黒が強くて負けてまうし…っ。だから…っ、ウチの白じゃあんた変えること
できひんのかな…って。」

そう言い終わると蜜柑は泣きそうな顔をしながら俯いてしまった。
そんなことを蜜柑が考えていたとは思いもしなかった棗は
何も思うのかいきなり蜜柑の絵の具の中にあった白色を乱暴に盗った。

「な、なにすんのっ!」

蜜柑の声など聞かずに、今度は自分の絵の具の中にあった黒色を
パレットの上に少し落とす。
そして、その上に先ほど盗った蜜柑の白の絵の具を大量に落とした。
落とし終わると、その二色の色を筆で乱暴にかき混ぜる。
黒は白を混ぜたことにより、みるみる白に近づいていった。
けれど、なかなか綺麗な白にはならず、どろどろとした黒が勝っていた。

「………ほら、全然変わらへん…。」
「まだ、わかんねぇだろ」

白を加えて、かき混ぜて、また白を加えて、かき混ぜて…
それが少しの間続いた。
そして、とうとう…




「………白や…。」

黒という名の暗い色は見事に白を混ぜたことで
同じ白色に変化した。普通の白と比べると少し黒い部分もあるけれど、
二人にとって充分な白色だった。

「……ウチ、この絵の具みたいに
 あんたのこと変えられるように頑張るっ」


(…本人に、なに宣言してんだ、あいつは……)




この絵の具のように簡単に
この絵の具のように数秒で

僕を君の色で変えてほしい。
そして、また笑える日が来るようにと、また――…


END....

―――ほんとは白じゃなくて赤にするつもりでした―――――――――――――――
↓そしてこんな風な話にしようとしてました(内容的には一緒ですが)↓

ラストが……

棗 「まだ、わかんねぇだろ」(赤と黒をまぜる)
蜜柑 「なんか血みたいに色になっとるけど……」(引く)
棗 「…血じゃねぇよ、情熱の赤」
蜜柑 「…ああ!そっか!!」
棗 「俺とお前の仲がこれくらい深いってこと」
蜜柑 「……なにいうてんの、あんた…。」

みたいな夫婦漫才みたいな感じにしようと思ったんですけど、
いかにも棗くんが蜜柑への愛を暴露しすぎなんで…というかある意味棗くん
引きキャラになっちゃうんでやめときました(汗
というか、30のお題の小説にしようと思ってたんですよ、この小説。
でも『色』っていうお題あったよなーなんて思った作った管理人の勘違いによりボツに。
色じゃなくて声でした、すみません。