「男というのは」
「棗って女の子みたいっ」
そう少女が呟いたのは帰り道。偶然、近くに居た棗と二人で寮への道を歩いていた。
『女の子みたい』
急に言われたその言葉に棗は眉を大きく吊り上げた。
「…はっ?」
そして、何時もの恐い顔をして蜜柑に言う。
しかし、そんな恐い顔にも動じず、蜜柑はじーっと棗の顔を見詰めた。
「…まつ毛長いし、美形やし」
『性格は女には見えへんけど』そう付け足した少女は、誉めているのかいないのか。そんな意味の分からない少女に棗は怒り等忘れて、ぽかんとしていた。しかし、やはり『女の子みたい』と言われたのが自棄に腹がたったので、棗は、直ぐにまた眉を吊り上げた。
そして、ばんっと音をたてて、近くの大きな木に蜜柑を押し付けた。行き成りの棗の行動に蜜柑は戸惑っている。
「……なつ、め…?」
棗の表情は見た事もない真剣な表情で。
男の子、の表情だった。
ドキドキして、顔が真っ赤になったが、木の陰で誤魔化した。
刹那、棗の口がにやりと笑んだ。
「…そんな事言ってっと襲っちまうぜ?」
「男は皆、狼なんだからよ」
その言葉に一瞬で麻痺された。
麻痺されたと思ったその瞬間に唇に強く触れる少年の唇。
驚いて、抵抗できなかった。
「これでも、『女の子みたい』なんて言えるか?」
それが離れた数秒後のその言葉に蜜柑は完全に力が抜け、ひょろひょろとその場に座り込んだ。横目でふっと笑み、蜜柑を置いて寮へ足を進ませた。
「じゃあな。」
明日からもう『女の子みたい』だなんて言わせない。
男というのは皆狼なのだから。
END
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小学生なりの狼。
成長したらもっとすごいことやりそうだ棗君は。