「american kiss」
急に目の前が影で覆われたかと思ったら瞬間に、
唇にふんわりとした暖かい感触を感じた。
それは一瞬の事で、直ぐに誰も居ない教室の窓から光が戻ってきた。
目の前には、澄ました表情の黒髪少年。
「…あ、あんた……今、何して……」
そう戸惑いながら言うと、
少年は何事もなかったように自身の席に座り、漫画を読み始める。
「っちょ……」
「挨拶だ。」
『ちょっと』と言おうした言葉は、少年の言葉によって掻き消された。
それと共にひきつる自身の表情。
「はあ!?あれが挨拶!?」
真っ赤な顔をしてそう言うと、少年は、ふっと見下したように笑んだ。
「アメリカでは、キスなんて挨拶だろ?」
「ここは日本や!!」
そう怒鳴ると、蜜柑は暫く黙った。
(口にするなんて卑怯や……)
人差し指を唇に当てながら沈んだ表情をする蜜柑を横目で見、
少年は一つ溜息を吐いた。
「すきあり」
そう小さく言って、蜜柑にまたキスをした。
瞬間に、また蜜柑の怒鳴り声が響く。
再度、キスした行動に意味はない。
あるとしたらそれは、
ただ、少女の沈んだ表情を見たくなかったのと、
ただ、キスがしたかった、それだけ。
END
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ただキスがしたい。
この話に意味は全く御座いません。