「夢見の中で」


放課後、響きまわる声。
「どこ行ったのよあの馬鹿男!」
どかどかと声と共に響きまわるパーマの足音。
どうしてこんなに怒っているのか…。

事の始まりは、この時間帯から30分くらい前。
珍しくもない何時もの心を読む少年の毒舌が原因。
それで追い掛け回して、見失ってしまった、という訳だ。
三十分走りっぱなしだった事もあって、もうくたくたで息が続かなかった。
目の前にはB組の教室。
諦めて、帰ってやろうと思い、ドアを開けた。
だが、そこには…

「…ここに居たのね………」
その言葉どおり、心を読める少年はそこに居た。
机にへばりついて静かな寝息をたてていた。
怒鳴り散らしてやろうかと思っていたがその寝顔を見たら怒る気なんてなくなってしまった。
普段、見た事もない寝顔に誘われて、
いつのまにか向かいの席に彼を見詰めるように座っていた。


「あんたって…嫌みばっかで嫌いよ…」
寝てる彼に気を抜いて、独り言のように喋りだす。
「…ねぇ、でもね…何だか嬉しいんだ、何でだろう」
喋りが止まらない。
本音がぽろりぽろりと口から出て行った。魔法みたいに。

「……多分ね…私、あんたの事好きなんだと思う」


「…大好きなのよ、きっと」






耳に優しくかかる吐息。
静かな寝息。
何時の間にかパーマは少年の真横で一緒に眠っていた。

眠っているそんなパーマに静かにかけられた言葉。



「―…ねぇ、僕も大好きだよ、パーマ」
今まで寝たふりをしていたなんて口が裂けても言えやしない。
とりあえず、聞こえないような小さな声でお返しを囁いた。


END
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心×スミレ。
知らないところでお互い告白してます。