f a i n t l o v e ― 淡 い 恋 ― 眠れなかった。 だから、部屋から出て、散歩する事にしたんだ。 深夜に出歩く事は初めてで、真っ暗で少し鳥肌がたった。 けど、そのまま歩き出す。行く場所なんて決まってない。適当だ。 そんな時、偶然通りかかった部屋から物音が聞こえた。 どすん!! 何だか、人が地面に落ちたような音だった。 暗い中、目をこらして壁にある名札を見てみれば… 『佐倉 蜜柑 ☆』 少し、戸惑って息を呑んだが、もしかしたら何か重大な事が起こったのかもしれない、そう思った流架は静かに鍵の閉まっていないドアを開けた。 一番最初に耳についたのは安らかな寝息。 見れば、蜜柑が大の字になって地面に寝ていた。 どうやら、ベッドから落ちたらしい。 (……寝相悪いな…) そんな事を思いつつも彼女が無事だった事を安心した。 ランプに照らされる蜜柑の穏やかな顔を見ながらそっと蜜柑を抱き上げた。その瞬間、蜜柑の瞳がゆっくりと開かれた。一瞬、びくりとした流架だが蜜柑が何かふにゃふにゃ言っているので、寝ぼけてる事に気づいた。 刹那… 「ん〜…?なつ、め〜???」 零れた言葉は『棗』。それは、自分の親友でもあり、自分のライバルでもある少年の名。 何だか悔しくて少し遅い聞かないふりをした。 「こんな夜遅くに来るんは棗しかおらんしなぁ〜……」 どうやら、自分と棗を勘違いしているらしい。 暗いから顔もろくに見れないんだ、無理もない。 「ん〜…ありがとなぁ…」 ベッドに寝かせてやった瞬間、蜜柑がそう呟いて自分の手に指を優しく絡ませてきた。 驚いて、そらしていた目を彼女にやると、もう彼女は魔法のようにまた眠りについていた。 暖かい。 暖かすぎて物凄く愛しかった。 例え、自分だと気づかれなくても、この幸せを考えたらどうでもよくなってきた。 この瞬間で良い。 この時間だけで良いから… どうか、このまま見つかりませんように。 END...... ----------------------------------------------------------------------------- 初のるかんです。 私の書くるかんはシリアスになってしまいます…。 |