放課後の校舎を一人歩く彼女の姿が、何となく泣いているように見えた。だから、ベンツに乗り込もうとしていた身体を翻し、青年は思わず至近距離にいた彼女に近付いた。
「ハルヒ…?」
少し低いトーンで声を掛けると、彼女が振り向いた。しかし、漂う温和なオーラは何時もと変わらない。とくに変わった様子もなかった。ー泣いているのかと思ったけれど。
予想外の状況に焦っている青年に、彼女が追い討ちをかけるように口を開いた。
「何か用ですか?」
「い、いや…っっ!」
その流れで思わず青年が大袈裟に首を振る。彼女はそれを確認すると、くるりと前へ向き直り、そのまま歩き出そうとした。しかしこのまま何事もなく彼女に去られてしまっては自分の立場がない。青年はとっさに思い浮かんだ話題を後姿に持ちかけた。
「今日は…っお父様はお家にいらっしゃるのか?」
そう適当に問うてみると、微かに彼女の背中が反応したような気がした。その姿に思わず緩んでいた表情が真剣なものへと変わってしまう。彼女は再度振り向くと、何時もの無表情でこう返した。
「いえ。いませんけど。父は滅多に家には戻らないので」
何時もと変わりはないが、青年はその言葉に違和感を感じた。
「…一人で、寂しくはないのか?」
思わずぽろりと出てしまった本音に、青年は咄嗟に口を覆った。彼女は表情一つ変えず、黙って青年を見詰めると、また口を開く。
「そう思ったことはないです。父もちゃんと気を遣ってくれますし」
そう言った彼女の言葉はとても淡々としていて、青年はこれ以上何も問うことが出来なかった。
「そうか…」
会話の終わりを確認すると彼女は、それじゃまた明日、と言って小さくお辞儀をした。そしてまた背を向けると先程と同じように前を歩き出す。
しかし、やはりその背中が小さく見えてしまう。青年は思わず無意識に手を伸ばした。
「…っハルヒ!」
「なっ…!?」
掴んだ細い腕を引き寄せると知りたかった全てが分かった。その細っこい腕は微かに震えていて、間近で見た彼女の瞳はくるくると動揺しているように動き、そしてそこは涙で溢れていた。
彼女は勢い良く腕を振り解いて、青年から逃げるように走っていく。ああ、彼女は意地を張っていたんだ、そう心の中で言い終わる前に、青年は逃げていく彼女の元へと走っていった。
背中はきっと泣
いている
(意地っ張りな君を放っておけないから)
*
小説が書けない…!
やっぱりネタを無理矢理考えると全然書けない!!
うおおっっ!意地っ張りなハルヒぃ…。