「何か変な感じですね」
そうぽつりと声を漏らしたハルヒに対して、モリはただ無言を返した。モリは部室のソファに座っていて、ハルヒはそんな彼の目の前に立ち、微かに赤く腫れ上がったモリの額に手を当てている。何故このような状態になっているのか。
それは今から数分前のこと。ホスト部営業中、”忘れ物をした”とモリが一度席を外し、それから戻ってきた時のことだ。帰ってきたモリの額は既に微かに赤く腫れ上がっていた。
一体何があったのか。それに気づいたハルヒが慌ててモリに駆け寄ると、どうやら忘れ物を取りに教室に入る際、長身の所為かドアに頭をぶつけてしまったらしいのだ。教室のドアはモリの身長より少し低い。今まではちゃんと軽く屈んで教室のドアを潜っていたのだが、今回は急いでいた為かうっかり屈むのを忘れてしまったらしい。
『ハルヒ、良いから手を貸してくれないか』
冷やすものを持ってくると言って部室を出ていこうとしたハルヒに対してモリはそう言った。そう、モリの額にハルヒが手を当てているのはそういう訳だ。
今の季節が冬の所為か、それとも元の体温の所為なのか、もしかしたら心が暖かい所為なのか、ハルヒの手はひんやり冷たく、腫れた場所を冷やすには丁度良かった。
「モリ先輩って実はちょっとドジだったりしますよね」
「……そう…か?」
下を俯いていたモリが顔をあげ、驚いたようにそう言うと、ハルヒはふんわりと微笑んだ。そして空いていたもう片方の手をモリの頭に持っていき、ゆっくりと撫でながらこう続けた。
「…何だか、今日のモリ先輩は小さく見えるみたい」
子供をあやすように撫でるハルヒの手と、ひんやりと癒していく冷たさ、そして甘ったるい母性本能の心地良さに浸り、モリはそっと目蓋を閉じた。ずっとこうしてもらいたいと、このまま時間が止まれば良いのにと、そうモリは静かに思った。
「もう放しても大丈夫そうですね」
腫れが引いたのを感じ、ハルヒはモリの額から手を放そうとした。しかし離れていくそれを何を思うのかモリがぱしりと掴み、それから強引にまた引き戻した。予想もしなかったモリの行動に驚いているハルヒを上から見上げ、『…まだ痛い』と言ってモリは微かに口元を緩ませた。
君に甘えたい。
(まだ、その心地良さに)
*
モリハル初めて書いてみましたー!
モリとハルヒ以外の部員はちゃんといるってことで、でも第三音楽室は広すぎてそんな二人の状況に皆気づいていないということで…(無理矢理)あとモリの腫れは浅いってことで。
ってかモリハルって書くの難しいな;モリ口数少ないし(汗)でも書いてて楽しかったです^^