(環せんぱいと馨くん)


ティーポットの中身を補充しようと棚の方まで行くと、その近くで部長がしゃがんでいた。何してるんだこの人は。そう思い、背中を向けている彼をゆっくりと覗いてみる。彼の表情は変わりない阿呆面。目線を何気なく彼の手元に向けてみると、彼の手には一輪の花が握られていた。彼は何かぶつぶつと言いながら、花弁を一枚一枚引き抜いている。
「殿、何してんの」
「っおわあああーー!!!」
何と情けない声なんだ、と馨は失笑した。ぐるんと勢い良く身体を向けた部長は、余程驚いたのか今だ心臓をバクバクさせている。彼の周りには引き抜いた花弁が二、三枚くらい落ちていた。
ゆっくりと部長の前にしゃがみ込むと、馨は先程言った問いを再度繰り返した。だから何してるの、と。問われた部長は”見て分からないのか”という顔をしながらこう言う。
「花占いに決まってるだろ」
その言葉を聞くと、馨は彼の引き抜いた花弁たちとを照らし合わせ、”庶民がよく二つの答えを予測するときに使う遊びか”と思い納得した。
「で、何を占ってるのさ?」
「鏡夜は俺のことをどう思っているのかだ!」
「…あ、そうなの。」
そんな部長に馨はぽかんとするしかない。部長は気合いを入れる為に大きく深呼吸をすると再び花占いを開始した。一枚の花弁を人差し指と親指で摘んで”好き”と静かに呟く。馨はコーヒーを補充しにきたことなど忘れ、ぼんやりと一枚一枚引き抜かれていく花弁を見詰めていた。そして思ったことを一つ、口にする。
「あのさ殿。さっきから何で”好き”しか言わないの?」
「ん?だって”嫌い”だったらイヤだろ」
「…………」




引き抜かれていく

花弁の答え


(僕はやっぱり臆病だから)




きょ、鏡夜話題にしか出てこなかった…!期待してた人ごめんなさい;花占いを「好き、好き、好き」しか言わない環が書きたかっただけなの!ごめんなさい!だって可愛いじゃないですか…。