「いっそ壊してしまえば」

※痛いです/R15指定です※

彼女の買出しに着いて行き、その二人きりの時間を利用して僕は彼女に想いを告げた。流石の彼女でも目をぱちくりとさせ、驚いていたようだった。付き合ってよ、と付け足すと、彼女はあっさりと”いいよ”と答えた。
僕が彼女と付き合い始めたということが部に知れ渡ると、あんなに良かった部員達の仲は予想以上に簡単に壊れていった。まず光は僕と口を利かなくなった。喧嘩をしたという訳ではない。”良かったじゃん”と光が僕に声を掛けてきたのを最後に、気まずさからか自然と二人でいることがなくなった。光は自分がハルヒを好きだったということに今更気づき、きっと後悔と息苦しさに襲われているのだ。
鏡夜先輩とは目が合えばにこりとお互い微笑み合うくらいで、それ以外は当然話すこともない。あんなにも煩く言っていた部活の指示も、何時のまにか僕を除くようになっていた。
ハニー先輩と銛先輩とは普通に話す。けど前みたいには話してくれなくなった。会話の数も少ないし、どことなく余所余所しい感じもした。
最後に殿だ。一番落ち込むだろうと考えていた殿は、予想外にそれを表情【かお】には出さなかった。爽やかな笑顔と苛めたくなるような雰囲気を漂わせ、何時もと変わらず話し掛けてくる。しかしだからこそだ、分かり難く演じているこの人こそ、やはり一番のダメージを負ったのだろう。ハルヒの存在の大きさは本当に計り知れない、と僕は改めて感じさせられた。
「ハルヒ、帰ろ」
「…あ、うん」
放課後の教室で一人待っていた彼女の腕を強引に引き、僕らは教室を出た。彼女は僕と付き合うようになってから、ぼんやり窓の外を見ることが多くなった。彼女も部員達の異変に気づいているのだろう。だがその原因が”彼女が僕と付き合ったから”などとは、鈍い彼女が当然そこまで感づく筈もなかった。
彼女が僕の告白をあっさりと受け入れたあの日、僕は思わず彼女に問うた。
『ハルヒ、付き合うってどういうことか分かってんの?』
『一緒に帰ったり、遊びに行ったり、でしょ?』
『…まあ。大体はそうなんだけど』
あの時の様子から見て、そして僕の考えからして、きっとハルヒは”付き合う”ってことをよく分かっていなかったと思う。一緒に帰ったり遊びに行ったりなんて、そんなの友達同士でも兄弟でも出来ることだ。それに僕はハルヒが好きだと伝えたけれど、ハルヒ本人の気持ちは今だに分からない。好きと言ってもらった訳でもないし、付き合ってからもハルヒの態度は今までと何ら変わらりない。
なら僕はどうして彼女の気持ちを聞きもしないまま付き合ったのだろうか。どうして僕はあの暖かな”家族設定”を壊してまでも彼女に告白したかったのか。今みたいな状態を防ぐための”予防線”ではなかったのか?そして何故、それをよく理解していた僕が、自らこんな状態を作ってしまったのだろうか。
「ねえ。僕ん家寄ってってよ」
「馨の家?今日は特に用ないし、別にいいよ」
僕が手を繋ぐ力を強めたことに気づきもせず、彼女は淡々とそう答えた。僕にはこの後の光景がもう全て頭の中で想像できていた。僕がこれから彼女に、何をするのかも。
 気まずさの為か、最近光と家で顔を合わせることはない。当然世話係などには見られたが、僕とハルヒは光の存在を気にすることなく、すんなりと家の中に入ることが出来た。広すぎる家だ。だから光に見られないように部屋に入るなど容易いことである。
「そこにでも座ってて」
ソファなどがある中、僕はあえてハルヒにベッドに腰掛けるように指示した。彼女は何の躊躇【ちゅうちょ】も無しにベッドに深く腰を下ろした。それを横目で確認すると、僕は制服のジャケットを脱ぎ、それをハンガーにかける。さらにネクタイを緩めると、何も言わずに彼女の隣に腰を下ろした。ハルヒは隣の僕に気に掛けることもなく、大きな瞳できょろきょろと部屋中を眺めている。そんな彼女に、僕はもう一度質問した。
「ハルヒ。付き合うってどういうことか分かってる?」
ハルヒはその言葉にきょとんとした表情をすると、”だから”と口を動かした。
「一緒に帰ったり、遊びに行ったりって前に言ったじゃん」
やはり彼女は分かっていない。ベッドに男女二人が座っているという状況でも、それがどういう意味を指しているのか全く分かっていないのだ。彼女が初めて部員達に女だということを明かしたとき、彼女は言っていた。”自分は男や女の意識が人よりも低い”と。改めて思う、全くその通りだと。
それはほんの一瞬だった。僕はハルヒの細い腕を強く引き、勢い良くベッドに押し倒した。彼女は大袈裟な反応はしなかったが、大きな瞳を白黒させていた。僕は彼女の両腕を片手で纏め、それを彼女の頭上に移動し抑え付けるように固定した。そのまま彼女の半開きの唇にキスをする。中から舌を探しだし、それを絡めとると微かに彼女の肩がびくりと震えた。
「…何怖がってんのさ。付き合ってるんだからこのくらい当然でしょ?」
彼女を見下げるようにぼそりと声を落とし、僕は笑った。何があっても冷静な彼女が何だかその時だけ弱く見えた。僕はそれが面白かった。
僕は唇を鎖骨に移し、優しく噛み、そこに花を咲かせた。彼女はというと、平常を取り戻し、ここから逃げ出そうと暴れだした。
「や、やめて馨!お願いだから!」
ハルヒは必死になって手足をばたつかせ、僕から逃れようとする。だけど僕は男で、ハルヒは女だから、女のハルヒが僕に力で勝てる筈もなかった。僕は構わず彼女のワイシャツを剥ぎ取り、そこから微かな膨らみを見つけると、やんわりとそこを撫で、時に唇で吸って遊んだ。先に進めば進むほどハルヒの騒ぎ声は大きくなっていった。好い加減煩くなり、僕はハルヒの口を掌で抑えつけた。そして先程の続きを囁くのだ。
「でもさハルヒ。男はきっとそれだけじゃ足りなくなると思うよ」
「…んん…っっ!」
「…いずれ、男はハルヒ自身を欲しくなるから。」
そう言い終えたと同時に、僕は彼女のまだ潤いの無い中に自分自身を押し込めた。途端、彼女の身体がびくりと大きく仰け反り、共に涙が流れた。僕はそんな彼女の顔を見ないようにして、思うが侭に動いた。だけど彼女に無理をさせないように、あくまで優しく行為を進めた。
最中、ハルヒが一度だけ微かに言葉を口にした。大粒の涙を流しながら。
「…た…っま………っ…せんっ…ぱ…!」
僕にはしっかりと聞き取れていた。そこで彼女の本当の気持ちが分かった。だけど僕はそんなハルヒに声を掛けることもなく、そのまま果て、彼女も気を失った。
「……はあ。」
ベッドに横たわっている彼女の姿をぼんやりと眺め、僕は再確認していた。彼女の気持ちは最初から僕のところにある訳ではなく、別のどこかにあるのだと。そして鈍い彼女はそれに気づいていなかった。
僕は、きっと皆より一歩前へ進みたいと思ってしまったのだ。光よりも、僕の方が先に、そう思ってしまったのだ。だから家族設定を壊してまでも、彼女に告白し、皆よりリードを取り、自分のものにしてしまいたい、とそう思った。恋人同士という関係になることで少し余裕を感じることが出来るのだ。ある意味、それ程不安だったのかもしれない。
しかし。確かにあの時、彼女は”環先輩”と叫んでいた。それが彼女の答えだ。正直な話、僕は前から少しだけ彼女の気持ちに感づいていた。僕ではない人を見ているのだと分かっていた。だから焦っていた。だから僕はそれを壊すように彼女の身体を奪ったのだ。身体を奪うことで心も奪うことが出来る、とその時の僕は何故か思っていたのだ。それと同時に、男女の違いを理解していない彼女へ、罰を与えた。”男女の違いを分からせたい”と”自分のものしてしまいたい”という気持ちが重なり、そして溢れた。きっと、いっそのこと何もかも壊してしまえ、と僕の中の何かがそうさせたのだ。
しかし、実際はどうだろう。今僕が犯したこの状況は、成功だったのだろうか?


END
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……よ、よくわからーーーーーん!!!!!
初の馨ハルをどう書こうかとっても迷って、個人的にエロいのが良いなあと思い書いていたのですが、結局なぜ家族設定を壊してまでもハルヒを手に入れたかったのかあやふやな説明のまま終わってしまった!!ってか馨もハルヒもこんなに馬鹿じゃない!!
まああまり深く考えないで読んでやって下さい…汗