(ハニーせんぱいとハルヒちゃん)


何だか彼女に男として見られていないような気がして、腹が立っていた。深い溜息を吐き、ソファにぐったりともたれかかる。暫く経つとショートケーキとオレンジジュースを持ったその彼女がやって来た。彼女は僕の気持ちなど知りもしないで、何時もと同じように、持ってきたケーキなどをテーブルに置いてゆく。
無性に腹が立ったから、意地悪をしたくなってしまった。
「え〜ハルちゃん。僕昨日いちごがいっぱい乗ってるやつって言ったのに〜」
「そうだったんですか?すみません、じゃあ取り替えて…」
「…………いいよ。仕方ないから食べてあげる」
実際、昨日はそんなこと一言も言わなかった。ただの八つ当たりだ。けど彼女は特に焦った様子もないし、何時ものように淡々としている。何だか余計に腹が立った。
「ハルちゃん、その代わりサービスしてよ」
のべっと広げていた足をしっかりと組み直し、少し偉そうな態度でそう漏らす。その状態はブラックハニーに近い。彼女は”はい?”と首を傾げて不思議そうな表情をしている。そんな彼女を見上げ、少し不気味に微笑む。そのまま伸ばした手で彼女の肩を引き寄せて、唇を彼女の唇に近づけた。触れるか触れないかの間の中で、一言プラスした。
「僕にキスして?」
彼女の表情は変わらない。そんな状態にも関わらず、何時ものような平然とした表情を保っている。さらに怒りが増して、そのまま本当に接吻してやろうかと思った瞬間、彼女が自分の肩を押し、離れた。その力はそんなに強くはない。
「…もう。からかわないで下さい」
彼女はそう言い捨てると、ひらりと簡単に僕の前から去っていった。僕はそこに呆然と座っていることしか出来なくて、少し経ってまた腹が立ってきた。うさちゃんを抱く手が思わず強まる。
「…ハルちゃんって、本当に馬鹿だよねえ」
うさちゃんの頭越しに映っている彼女の後姿をぼんやりと見詰める。彼女を手に入れることはもしかして甘い物を一週間我慢することより難しいことなのではないか、と僕は思っていた。




甘いSweetよりも、

(彼女かケーキか、究極の選択)




何が言いたいとかとくにない。
ハニー先輩の話が書きたくて無理矢理浮んだのがこれ。
なんだろうね。