(環せんぱいとハルヒちゃん)


あまりにも可愛いからこの腕で何時ものように抱き寄せて、すりすりと茶色髪の彼女に頬ずりをする。その時なんだか急に男の理性というものが燃えてきて、思わずその桜の唇に顔を寄せた。
しかし寄せた唇は、冷静に姿を現した彼女の白い手により防がれてしまった。彼女は無表情で、ただ背の高い自分を大きな瞳をぱちくりとさせて見上げている。そんな彼女の冷静さに思わず口元が緩む。それとも彼女はこんな自分にもう慣れてしまったのだろうか。
「環さまのキスを拒むなんて、どういうつもりだハルヒ?」
「自分は別にキスなんてしたくありません」
ぴしゃりとくる彼女の言葉に、切なさを超えて、思わず『はんっ』と笑みと合わさった溜息が出た。
彼女はとても可憐で、こうやって男装をしていてもその美しさは身に染みるほど分かる。初めて意識した女性に、自身はどうしても触れたかった。その唇を、どうしても奪ってみたいと。
「…ハルヒ」
そう小さく囁くように声を落とし、断れたことを他所にまた彼女に唇を寄せる。しかし彼女はやはりそれを許してはくれなくて、さっと出された白いハンカチでそれを防ぐ。唇が重なることはなかったが、微かにハンカチの奥に温かな温度と、柔らかな感触を感じた。こういう中途半端やり方が一番気になるんだ。
「お預けです。」
彼女はにっこりと営業スマイルをしながらそう皮肉な言葉を青年に落とすと、ぐるんと背を向けて前を歩き出した。それを見てまた切なげな笑みを浮べると、青年は静かに目蓋を閉じた。
ーやはり、彼女には適わない。そう改めて確信するのであった。




彼女の術に負ける

(ああ、やっぱり彼女の方が上手だ)




初たまはる!まだ人物のことよく知らないので口調とか間違ってたらごめんなさい。環×ハルヒ大好きですv