(棗くんと蜜柑ちゃん)


昔はあんなに煩くて、あんなに自身に怒鳴ってきたのに、付き合い始めると予想以上に簡単に大人しくなるものだと、最近になって思った。
今その”煩かった奴”は、ベッドの中で自身に力一杯抱きついている。”棗”と甘えた声を出すその幸せそうな表情は、頭を撫でられて喜ぶ猫のようだ。まだ朝の六時。今日は土曜だから学校は休み。昨晩張り切りすぎた為かまだ眠い。けど少女は眠くないらしく、先程から何か期待するような瞳でこっちを見詰めている。身体は彼女の細い腕に巻かれてしまっていて、思うように身動きが取れない。嬉しいけど、あんまり嬉しくない。だって自身は夜行性だから。
「なつめ〜なつめぇ〜〜っっ」
”構って”と言っている。先程からずっとそんな感じだ。大人しくなったと思ったけれど、勘違いだったみたいだ。少女は違う意味でまた煩くなっている。まあ前よりはマシか?
「…煩い蜜柑。お前は昨晩途中で気絶したからよく寝ただろうけどな、俺はそうじゃねえんだよ。寝かせろ」
そう言って昨晩の取り組みを話題に出しつつ、少女の頭をポンッと優しく叩いて再度目蓋を閉じる。けど少女の声はそれでも止まない。
「い〜や〜やぁ〜!起きて棗ぇ。ウチに構ってよぉ〜!」
巻かれた細い腕の力が強くなり、それと同時に頬や額に少女からキスがおくられる。ちゅっちゅっと鳴る音は、”構って”と聞こえてくるようで。何だか全然休めそうにない。
「……はあ」
身体を包んでいた細い腕を逆に掴んでやり、そのままゴロンと体勢を変える。一気に自身が上で、少女が下…という形が出来上がった。その途端、彼女の顔色が変わる。
「……え……ウチそういう意味で構ってゆうたんや…なくて……」
「バーカ。もう遅ぇよ」
ただ抱き締めてほしかっただけなのに、と言った少女の言葉を無視し、自身は少女に深いキスを落として、それから彼女の身体を纏っていたタオルケットを一気に奪った。
昔はあんなに煩くて、あんなに自身に怒鳴ってきたのに、付き合い始めると予想以上に簡単に大人しくなるものだと、最近になって思った。けど、それと同時に自身は情けないくらいに少女に甘くなってしまったようだ。




甘えられる甘い男

(もうメロメロなんだ、きっと)




最近甘える蜜柑にハマってます。いつも棗が迫って蜜柑が怒鳴って…みたいなものしか書いてなかったので。「棗が大好きな蜜柑」をこれからたくさん書いていきたいです。