(棗くんと蜜柑ちゃん)


任務がずっと続いたり、追い討ちをかけるようにプライド高い上級生に冷やかされたり、そういう日があると決まって一人の時間を作る。無性に腹が立って、悲しくなって。そんな感情を落ち着かせようとして一人になるんだ。気が紛れるように。
だけどそんな時に限ってあいつはのこのこやってきて。何にも知らずに甲高い声を出して自身の隣に座ってくる。っていうかここの裏庭は自身と親友の陣地なのに、何故こいつは普通に入ってきてるんだ。
「なんやねん不服そうな顔してぇ!人間笑顔が一番やで笑顔が!」
「…るせぇ。マジうぜぇ」
こいつが自身の大切にしている女だからだとか、そんなこと今は関係ない。生憎一人になりたい気分なのだ。だから今はこの少女でさえも鬱陶しくて堪らない。少女は何故だか自身の顔をじいっと見詰めている。マジうぜぇ。
「…あんた何でそんな不安そうな顔してんの?何で泣きそうやの?何かあったん?」
「…は?不安なんかじゃねえし、泣きそうでもねえよ」
「嘘!ウチにはそう見えるもん!」
何時もこいつはこうやって自身の知られたくない弱みや、不安を簡単に見透かしてくる。自身は少女のそういうところが嫌いだ。いや、甘えてしまいそうで怖いんだ。めちゃくちゃになるくらいに頼ってしまいそうで。
そんなことを考えて、少女の言葉も聞かずにぼうっとしていると、急に何かふわっとしたものに包まれた。吃驚しすぎて思わず目を見開く。少女が自身を強く抱き締めていた。
「…っな!離せテメェ!」
「じーちゃんがゆうててん。近くに泣きそうな子がおったらギュッて抱き締めてやれって!」
「…っはあ!?」
巻かれた腕を振り解こうとしても、少女が必死に抱きついてくるものだからそれが出来なかった。少女のツインテールのゆるりとした髪が頬に当たり、そこから甘い香りが漂ってくる。きっとそれはある意味の媚薬だった。
自身は強く瞳を閉じると、一気に少女を力強く押し倒し、深いキスをした。少女から荒い息が漏れても、それでも長く強引なキスを。それはきっと逃げなのかもしれない。光に助けを求めただけなのかもしれない。だけどその時の自身は、光が自身に向かって”一人じゃないよ”と言ってくれているような気がして、ただただ嬉しかったんだ。
「ばっバカ棗っっ!!離れろーーーー!!!!」
「いやだ」
自身の心の中を見透かしてくるこいつが嫌い。何時でも明るく笑いかけてくるこいつが大嫌い。だけど一番嫌いなのは、そんな奴に癒されてしまっている自分だ。




きっとそれは媚薬

だった


(一度受け入れた腕は逃がさない)




な…なんだこれ!とくに深い意味はないです。ただ小説書かなきゃなあ〜と思ってネタも決まってないまま、とりあえず書き始めてみて、途中から「甘々が良いよな〜」なんて思って書き進めていって、気づいたらこんな感じに仕上がってました。まあ、本当のことをいうと積極的に抱きつく蜜柑ちゃんが書きたかっただけなんです!(ぁ