何時もと同じように少年の部屋に遊びに行き、何時ものように広すぎる部屋を眺め、好き勝手にはしゃぐ。付き合っている訳ではない。天敵だからといってお互い一緒にいてつまらない訳ではない。だから偶にこうして少女は少年の部屋に遊びに行くのだ。
しかし、この時はまだお互い深く考えてはいなかったのだ。そう、今が思春期だということに。
『…っな』
切欠はこうだ。少女がやはり何時ものように少年のベッドにダイブし、気分の良くなった少女は止まらないお喋りを始めた。しかしそれに対し、少年の方はそんな気分ではないらしい。彼は気分屋なのだ。今日は静かにしていたい気分である。
そんな少年に少女のお決まりの文句が始まる。”つまらない”など”構って”だの好き放題言っている。
少年は聞かないふりをしていた。彼は成長することによって”我慢”ということを学んだのだ。しかし少女は全く成長していなかった。そんな少年の我慢を台無しにするように文句を続ける。そう、彼女の方は人一倍寂しがりやなのだ。
少年は我慢ということを学んだが、それは学んだばかりであり、そう長続きしなかった。好い加減怒りが頂点に達した少年は、座っていた椅子からすくっと立ち上がると、少女が寝そべっているベッドの上に上がった。そして今まさに逃れようとしている少女をとっ捕まえ、少年は少女の柔らかな頬を両手でぐいぐいとつねった。
『テメェ少しは静かにしてろよ』
『いっ…いひゃひゃひゃ!ごっごめんってば棗!』
そこでだ。そこで頬をつねっているときに、偶々少女の耳に触れた少年の指先が、どうやら少女はくすぐったかったらしい。それからは当然、くすぐり大会が始まる。
念のためここで忠告しておこう。少年が少女の寝そべっているベッドの上に上がったことに、一切悪気はないとする。そう、全ては無意識から、思春期の自覚までのお話。
「…っな」
どこからどうこのような雰囲気になったのか。少女は仰向けにベッドに寝そべっていて、少年はそんな少女を囲むように四つん這いになっている。それは少女が押し倒されているという絵にも見えなくはないが。二人は何時の間にか見詰め合っていた。くすぐりあっていた結果、それは妙なムードをも呼んでしまったらしい。くすぐり大会がいけなかったのか?いや少年がベッドに上がったとこからが問題なのだろう。
そこで重要ポイント。少年の右手は何故か少女の服の中に入り込んでおり、少女の微かな膨らみに触れている。その状態に少女はただ『な』と言って少年の名前の一文字を繰り返すことしかできず、少年は少年で自分が無意識に起こしてしまったこの状態に驚いているのか目を大きく見開いていた。
「…ごめん…ウチ、帰るな。」
「………おー。」
”胸どこだよ”なんて言えるのは小さかったあの日までだ。あんな風に簡単に思える程、今は簡単ではなくなってきている。確実に、成長してきているのだ。大人になる為に、一歩大人の階段をのぼるために。
そう、彼等は思春期を迎えようとしている。
思春期のはじまり
(胸の鼓動がとまらない)
*
なんだろこれ。
とりあえず思春期ってことで!
中等部…くらい…?