(棗くんと蜜柑ちゃん)


何となくそういう雰囲気になって、見上げてくる少女の赤い唇に、少年はそっと口付けを落とした。初めて体験するそれに、少年は兎も角少女は息を止めるので精一杯だった。
数秒の可愛らしいキスを終え、少年が唇を離すと少女は顔を真っ赤にして唇を両手で抑えた。そんな少女が可愛らしく、再度キスをしようとその手をどけようとすると、少女が笑顔でこう言った。
「ほんまにキスってレモン味なんやね」
その言葉に少年は唖然として、持っていった手を思わず停止させた。少女は何故だか嬉しそうににんまりしている。
「蛍がそれは限らへんゆうててんけど、ほんまにレモン味やんな。違うたら棗と一週間会話禁止令出されるとこだったんよ?良かったあ」
そう言って胸を撫で下ろすと、少女は帰る支度をしだした。
少年は何を思うのか、ただ其処で突っ立っていた。

ーほんまにキスってレモン味なんやね。

「何してんの棗っ、はよ帰ろ」
レモン味の飴玉を舐めているのだから当たり前だ、
少年は黙っていた。




偽りレモン

(触れた唇はすっぱかった)




会話禁止になったら大変だもんね