ヒーローはヒロインを
守らなくてはいけない義務がある


ヒ ー ロ ー と

ヒ ロ イ ン の 関 係 
[14.ヒーロー]



久しぶりに顔を見せたときからほぼ毎日特力教室に来ている殿。
来るたびに美咲の体や、蜜柑の体を触る変態=女好き。

今日の特力教室には、先程一緒にきた翼と美咲、
大分前から教室で皆を待っていたと思われる殿の姿だけがあった。
女好きの殿だけあって男と女、どちらをとるときたら、やはり女の美咲をとるだろう。
そんなこんなで、今、殿は美咲にセクハラを行っている。
もちろん、翼がそれを見て、何もしていないという訳ではないが、年上の殿の力には
かなわなく、そう簡単には美咲を救えない。

蛍製のでっかいハンマー、ケチャップ弾をくらわそうとしても殿は簡単によけてしまう。
何もできない翼は2人の光景を見てどんどん苛々し始めた。
ケチャップ弾を持っている手に力が入り、ケチャップが噴出してきた。
けれども、2人のことで頭がいっぱいの翼はそんなことに気づきもしなかった。

(べったべった触りやがって…。美咲が嫌がってんだろうが…)





(…あれ?……
 普段から俺は殿がチビに手をだすたびに止めに入るけど…)

(…チビのときはそんなにムカつかねぇんだよな…。)

それは、自分とチビの年が離れてるからってこともあるけれど…。
でも、自分と同じ年の特力の女子が手をだされてもあまりムカつかない。
何故、自分は美咲が殿に手を出されるとこんなにも腹が立つのだろうか。
今まで、そんなことを考えたこともなかった。

「好い加減はなせよっ、あたしじゃなくて他にいけっ!!」
「いやだ♪俺は美咲ちゃんだけだ・か・らw」
「…お〜い…つばさぁあ〜……(この子どうにかしてぇ)」

美咲の声は耳に届かず、翼はもう一度、2人の光景をぼーっと見詰めた。
けど、やはりむしょうにムカついてすぐに目を離してしまう。

「…つば………さ…?」

いつもと違うそんな翼を見て美咲は疑問に思った。
いつもはすぐに助けてくれるのに…(殿がいつもよりねばってるせいもあるけど)

いつもと違う翼を見て何故か哀しくなってくる自分。
美咲もそんな自分に疑問をもちはじめた。

―けれど力を抜いた美咲に殿が迫ったことにより、運命は変わった。






「……ひッッ」

殿がキスを迫ってきたのだ。
そんなのいつものことだが、翼のこと、自分のことでぼーっとしていた美咲は
かつて、聞いたことのない小さな悲鳴をあげてしまう。
美咲のそんな信じられない声にぼーっとしていた翼も我にかえった。
――そして。

ビュッッ!!!!べちゃっっ!!!

「…うぐっッ!!」

今まで殿によけられてばかりいた翼のケチャップ弾が殿の顔面に
当たり、見事に顔を真っ赤にさせた。
美咲もいきなりのことに驚いて、口をあんぐりとあけている。
そんなこと翼はおかまいなしに殿が顔を抑えているのを見計らってぐいっと
無理矢理美咲の腕をひいて、こちらへ寄せた。
翼が見事、殿の顔面にケチャップ弾を当てられたのは美咲の悲鳴のおかげだろうか。

「逃げんぞ、美咲。」
「…えっ、あ、うん…っ」

繋がれた手はしっかりと強く握られていて…二人の頬を真っ赤に染めた。
その赤さはケチャップ弾なんかではなく、新しく生まれた恋の証。
そのまま二人は教室を出て、廊下へ。













「……あんな本気で助けてくれるとは思ってなかったよ。」
「…ん?……ああ…。」

階段の段差に座って話す二人の雰囲気はいつもとちがく、なんだか
とても甘かった。美咲は嬉しそうに微笑みながら、翼はなんだか
照れくさそうに頭をかいていた。

「…なんで?いきなり。」

美咲のその質問に翼は困ったように目線を上にあげたり、下にさげたりと
戸惑う表情を見せた。けれど、その表情はあっというまに真剣な目になった。
そして、その真剣な目で美咲の方を見ると…



「…お、俺はヒーローだからっ。」




「……はっ…?」
「………俺がヒーローで、お前がヒロイン…。」
「………………………。」

目をまんまるくあけて、呆然としている美咲を見て
翼はそっぽを向きながらこう最後に言った。


「……ヒーローはヒロインを
 守らなくちゃいけねぇ義務があんだろ…?」


「…ぶっ!くすくすくす……っ」
「あっ!てめ…っ!せっかくカッコ良く言ってやったのに…っ!」
「…あははっ!あんた本当に馬鹿だよねぇ……っっ」
「っせーな!」

美咲は軽く笑いながら『んーっ』と両手を高くあげ、背伸びした。
そして、怒っている翼の頬に軽く触れるくらいの口付けを。
その口付けにより怒っていた翼はどこかに飛んでいってしまった。



「―――また守ってね。ヒーローさん。」

耳元でそう言うと、翼は先程よりも赤くなる。
そして、立ち上がって先にどこかへ行こうとする美咲の背中を見つめた。



「―――…ぉぅ。」

小さな合図が廊下に響いた―。

END.....



〜 おまけ 〜

殿 「そのあと、美咲ちゃんとはどうなった?」
翼 「はぁ!?どうもなってねーよ。」
殿 「ベッドまで行かなかったのかよ(もったいねー)」
翼 「!?んなわけねーだろ!!!変態めが!!」
殿 「あ〜あ…。
   せっかく気をきかせていつもよりしつこくしてやったのに」
翼 「………!?じゃあ、わざと…!!?」
殿 「うん(翼と美咲ちゃんくっつけ大作戦)」
翼 「………………。」

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初、殿→美咲×翼!!
殿の誘惑同盟」と作ったんでなんとなく作りたくなったのですよ。
実際どうなんでしょう、美咲が受けなんでしょうか、翼が受けなんでしょうか。
私が今回書いたのは翼が受けでしたが…うーん。