| いつか人は誰かと結ばれる いつか人は運命の人に出会う いつか人は結婚する…。 い つ か の 君 へ [13.目隠し] ずっと子供のままではいられない。 人は人生をおくるたびに大人へと成長していくのだから。 結婚…5人中3人は結婚すると言われている。 結婚…少なくとも結婚に憧れている女の子もいるだろう。 ――そしてウチもその一人。 「ウチ、結婚したい!!」 放課後になり、帰ろうとする3人の中の1人が大きな声で言いだした。 蜜柑だ、どこから結婚という文字をこの子は見つけたのだろうか。 急にそんなことを言い始めたハイテンションの女の子に蛍と委員長は疑問をもった。 「…あんたなんかに出来る訳ないでしょ。相手は?」 蛍の言葉に少し怒りをみせた蜜柑だが、蛍のもうひとつの言葉に黙り込んだ。 『相手は?』…"結婚"という言葉に憧れていただけであって、そこまで深く考えていなかったのだ。 そして、幼い彼女にはまだ正式に付き合っている男性もいなかった。 だが、1分もしないうちに彼女はすぐに開き直った、そして… 「まだおらんけどウチにふさわしい相手、今日からじっくり決めんねん!」 「見つかる訳ないでしょ、あんたにあう男なんていないと思うけど。」 「そ、そうだよ蜜柑ちゃん…今から探さなくてもそのうち……。」 結婚を軽く考え、あくまでミーハーをつきとおす蜜柑と、現実味溢れる蛍と、蜜柑の結婚 なんぞ考えたくない委員長…3人の口争いがしばし続いた。 そんな争いが3分程続いたとき、蛍のおなじみのバカンという音が響きまわった。 "好い加減にしろ"そんな気持ちがこもった馬足手袋は綺麗に蜜柑の頭にめり込んだ。 声にならない声をわめき散らす蜜柑を他所に蛍は済ました顔で蜜柑にまた質問した。 「なんで結婚したいのよ」 先程まで馬足手袋の痛さにわめいていた蜜柑はその蛍の良い感じの質問に 目を輝かせた、そしてこう言う。 「本で見たねん!花嫁さんのドレスめっちゃ綺麗やったん!ウチもあれ着たいん!! そんでなぁ、ブーケいう花束投げてみたいねん!」 それから蜜柑は何分間も花嫁のことを目をキラキラさせながら語った。 だが、蛍はそんな長話なんぞ聞いてはいなかった。 そして、『あんな阿呆についていけへんわ』と、地声でそうぼそりと言うと蛍は 委員長をつれて先に帰ってしまった。 「…なんやぁ、乙女心がわからんやっちゃなぁ…。」 そんなことをぽつり。 蜜柑も教室にしぶしぶ戻り、荷物をしょい、帰ろうとしたその時、 戸まで来たときに突然、何かが触れ、耳あたりでカサッと鳴った。 「おいブス。」 そして、いつも聞いているあの声。 後ろを向くとやはり棗が怖い顔をして立っていた。 耳にあたった物は………乱暴に持たれた花束。 「わぁっ、ウチにくれるんかぁ!?」 「はっ?誰がお前みたいなブスに花なんかやるかよ。」 「ブスは余計じゃ!…それにしても、棗が花なんか持ってると物騒やなぁ…。」 「黙れ。つーか、花当番お前もだろ、何忘れてんだよ…。」 「あ、そうやったわ…!」 昨日遅刻した罰として花当番を先生から言われていたのである。 しかも、パートナーだからって棗と一緒にやれというのだ。 花当番とは、放課後にかれた教室の花を取り替えるのが主な仕事である。 そして、水あげ、おていれ…などと色々ある。 普通の花とは違い、アリス学園の花はやっぱり変なのですぐに水がつきてしまったり、 汚れてしまったり、文句を言ったりと色々と大変なのである。 二人きり、放課後だから教室にはやはり誰もいないのである。 教室には水やりをしながら花達をじーっと見ている蜜柑と、椅子に座って 本を読みながらくつろいでいる棗。 水をあげる音と、本のページを開く音と、花達のうるさい文句声だけが響きまわっていた。 「…よう文句言うなぁ、この花…ムカつくわ。」 「おい、終わったか?」 「なにくつろいでんねん!あんたも手伝わんかい!」 「テメェのせいなのに、なんで俺がそんなことしなくちゃいけねーんだよ。」 「…うぅ、鬼やぁ〜〜〜!」 涙目になりながらまた花の作業に戻ると、蜜柑は何かを思い 出したように『あっ』と呟いた。 その声に反応し、棗が顔をあげる。 「なぁ、まだ花残っておるやろ?」 棗が自分の腰元にあった残り少ない花束を持ち上げ、蜜柑に見せると いつか見た蜜柑の目のきらめきが戻ってきた。 その蜜柑の表情に棗は変人を見るような目で蜜柑を見た。 「花嫁さんごっこしよ!」 やはりそれか。 馬鹿げた発言を毎日のようにしている彼女だが、そこまで馬鹿だったとは… 小学生にしては大人びている棗は思わず椅子からずり落ちてしまった。 『花嫁さんごっこしよ!』その言葉から何秒も経たないうちに彼女は花嫁さん ごっこの準備を始めようとしていた。 ドレスのつもりだろうか、自分の体に白いカーテンを巻きつけてピンクの紐で固定した。 棗が唖然と見つめているなか、蜜柑はぱっぱと準備を進めた。 完成した彼女はカーテンのドレスにアミ生地の布をかぶっていた。 可愛らしくなりきった彼女は右手に、残った花束を持っている。 見た目は学校のカーテンや、あまりものだけあって違和感はあるものの、 小学生の彼女にとっては完璧そのものだった。 それを見ていた棗は彼女の可愛らしい姿に声も出ない状態だった。 「一人じゃ寂しいやないか、棗相手役やってや。」 そう笑顔で近寄ってきた彼女にしてやられてまんまと腕をひかれてしまった。 そして、教室の黒板側からゆっくりと同じ速さで歩きだす。 ぎゅうと抱かれた片腕は力強かったが、変に心地がよかった。 先程まで唖然としていた棗の気持ちがこの時変化した… それが悪魔の囁きだってことは当然無我夢中の蜜柑は気づきもしなかった。 ―それは、黒板の位置から最後の奥の位置まで二人の足が達したときだった。 「こんな感じで教会歩くんやなぁ〜。隣が棗っちゅーのがあれやけど…。 今度はブーケ投げ手伝ってくれへん?」 「"誓いのキス"はやんねーのかよ?」 「そん………っっ」 『そんなことできへん』そう言いかけようとした唇にアミ生地の布が痛く刺さった。 そしてその奥には……熱い体温。 透けて周りが見えるようになっている布だが、こんなに間近に迫っては何も見えない。 目を大きく見開いてもやはり見えるのはただの白。 だが、これだけは解る……誰かがこの布を自分の顔に押し付けておさえているということと、 自分の唇になにか熱いものが押し付けられているということ。 ゆっくりとそれが離れるとふさがれていた唇に涼しい空気が当たった。 そして、誰かの手により布がまくられ、目の前の光景がぼんやり映った。 そこには……―――――…棗。 「……あんた…今なに……」 「――結婚ごっこだけど?」 "結婚ごっこ"棗に頼んだウチが阿呆やった…。 一生、結婚ごっこなんかやらんとこう…。 真っ赤な顔を両手で抑えた彼女はそのまま座り込んでしまった。 そんな彼女に棗は『べ』と、悪戯っぽくベロを出すと追い討ちにこう言った。 「―――続きは本番で。」 棗がかすかに笑った気がした―。 END....... ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――― なんだか今まで作ってきたシチュエーションが全て無駄だったような気がしますが…。 目隠し…になるまで無駄な話が多すぎましたね、申し訳ない; それにしてもこのお話のお題は初めの方は『嘘の約束』だったのですがどんどん話が 違う方向になってきたので急遽『目隠し』に変えました。 どれも当てはまらなくなってきて焦ってたら、話の中に蜜柑の目を布で隠してキスする…という シーンがあったことに気づき、変更させてもらいました、良かった『目隠し』あって…w なんだかつい真剣に書いてしまいましたが、お客さんにとってはイマイチの評価でしょう。 ふふふ、それぐらい解っていますとも。 |