「18:物凄くエッチなこと」

彼の表情が何時も全く違くて、私は戸惑ってしまった。二人で一つのベッドに腰掛け、雰囲気的に”ああなりそうな雰囲気”。『そろそろか』私は心の奥底で思っていた。もう付き合ってから二ヶ月を過ぎたし、もうこんな状態になっても可笑しくはない。彼は私の顔をじっと見詰めながら、先程から同じ言葉を繰り返している。
「…していいか?」
その言葉が求めているものは当然一つしかない。私は覚悟を決めながらも、技と戸惑うふりをして問うた。
「…していいかって…っ何をよ…?」
ああ私は今日女になるんだ。そんなことを考えながら、無意識に髪を指先で丁寧にとかして心の準備をし、ごくりと息を呑んだ。彼はニヤリと悪戯笑みをし、囁くようにこう言った。
「物凄くエッチなこと」


私は彼を受け入れた。”いいよ”と言った途端、彼はゆっくりと私に向かって手を伸ばし、柔らかなそこに手を添えた。それから優しく、そして強く力を加えていく。彼の指先は何度も奥底に沈んでいき、その度に彼は楽しそうに笑った。
「……って。何なんよ、コレ!」
彼の指先は私の両頬をつねり、ぷにぷにとそれを繰り返していた。左右に引っ張られるごとに歪む私の顔。阿呆面。ムードも何もない。何だこれ。
「こんな肉まんみたいなホッペしてるのが悪い。だから触らせろって言ったんだ」
「”していいか?”ってそういう意味だったんかい!!?」
「だってお前のホッペ気持ち良さそうだったし…あ、お前何か期待してた?」
「…しっしてへんわ!!(物凄くエッチなことゆうたくせに…)」
「悪いな。そのうちしてやるよ。それとも今するか?」
「…っっもうええ!!バカ棗!!!」
いや、馬鹿なのは私の方だ。彼の表情と言葉に勝手に騙されて、彼とそんな関係になっても良いかもと少しでも思ってしまった私の方が。私は彼に弱い。こんな風に、私は何時も彼という男にのまれてしまう。


END
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なんだこれ!ギャグです。エロ期待してた人すみません;