「14:もっと大きくなったら」

※死ネタです 苦手な人はスルー

彼の死期が近いと知ったのは、つい先程だ。親友と共に、彼が運ばれたという病院へと駆けつけると、そこには大声で”なつめ”と嘆く彼の親友と、クラスメイト、そしてぐったりとベッドに寝ている彼の姿があった。微かな呼吸を繰り返している彼の顔は青白く、身体中はぐっしょりと汗ばんでいる。
その状態を見て少女は自分の意識が遠退いていくのを感じた。ぐらりと今にも倒れてしまいそうな身体と精神を懸命に抑え付け、少女はがくがくと震えている足で少年に近付いた。少年の頬に少女はゆっくりと手を伸ばす。しかし伸ばした手の指先が微かに頬に触れたとき、少女はびくりと思わず手を引いてしまった。人間の通常の体温では、ないのだ。その冷たさは、彼の最期が間近だということを物語っていた。
「…うそ、やろ?」
最初に鳴海から彼が危篤だと知らされたときは、正直半信半疑だった。彼が死ぬなんてあり得ない。だって、つい昨日二人で喧嘩して、笑っていたのだ。信じられる筈がない。しかし、触れた少年の頬は冷たかった。死は近い。
彼のベッドの前で思わず跪いてしまった少女に、隣にいた彼の親友が涙を流しながらこう言った。
「おれ、も…最初は信じられ、なくて……っでも人の寿命を知ることができ、るアリス…のドクターが…棗は…っ今日が最期…だ…って…!」
「…………」
彼はアリスを使いすぎていた。アリスに限りが無い代わりに、命を減らすというアリスであるからにして。限界にきていたのだ。アリスも、体力も、精神も。子供のうちから。
しかし今日が最期だからといって諦める訳にはいかない。アリス病院のドクター、癒しのアリス、全て最善の治療が彼に尽くされた。彼はその為辛うじで息が出来ているという状態だ。
少女はそんな少年の姿をぼんやりと見詰めることしか出来なかった。少女自身どうして良いか分からず、パニック状態に陥っているのだ。
刹那、少女はハッと何かを思い出したような表情をした。さらに病室を勢い良く出ていく。そんな不可解な行動をとろうとした少女に、少女の親友が慌てて少女を追いかけ、止めに入った。
「…っみかん!何してるのよ!?どこへ行くの!?」
「作らへんといけへんねんっ…!作らへんと…っっ!」
「作るって…っ何をよ!?」
必死に少女を抑え付けてくる親友の腕を少女は勢い良く振り解き、その勢いでそのまま倒れ込むように膝をついた。そして両手を力強く握り合わせ、何かを願うような動作をし、目を瞑る。その途端微かな光が少女を包むが、その光は直ぐに消えてしまう。それが何度か続いた。しかし光が輝き続くことはなかった。思い通りにいかないその状態に、少女は苛立つと、勢い良く腕を壁に打ちつけた。途端、打ちつけた部分が真っ赤に腫れあがっていく。
だけど少女はそれを止めない。また壁に打ちつけようと腕を振り上げる。親友はそれを再度抑え付けた。
「好い加減にしてっ!あんた何をする気なの…っ!!?」
「…っどうして…!どうしてできひんのっ!?力が足りひんの…っ!??」
「…みかん!!?」
少女の振り上げた手が親友の顔を直撃し、親友が壁に叩きつけられても、少女はアリスを使い続けた。何度も何度も。その度に親友は少女にしがみ付いた。
「ウチ…っ!なつめに、言うたんやもん!作るって…言うたんやもん…!!」
「…っ何を、よ…!」
少女は思い返していた。きらきらと光る湖で彼に言った言葉を。約束などしていないが、これは絶対に彼にあげなくてはいけないと強く思っていた。
『ウチが、大きくなって……』
これが最期なのならば、せめて生きている間に渡したい。それでなければ意味がない。少しでも彼に役に立ちたくて、喜んでもらいたくて、それは、彼に心の中で”あげたい”と強く思ったたった一つのもの。
「…………っっっアリスストーン……!」


「…ドクター!棗の様子が…っっ!」
「…っもう…限界かもしれない。最善を尽くしますが…っ」
「そ、そんな…!」
「蜜柑ちゃんと今井さんは!?」
「さ、さっき…っ勢い良く病室を出ていって…っ」
「呼んできて!!早く!!ーー棗くんが…!」


少女の今の力でアリスストーンを作るなど、所詮無理に近い。少女の力はまだまだ弱く、強くはない。アリスストーンを作る為の力が足りないのだ。
自分の身の程を知った少女は、切なさと悔しさに襲われ、今までにない程の涙を流し、嘆いた。そんな少女を親友は震える手でそっと抱き締め、共に涙を流した。
「言った、のに…!棗に…っあげるって…!!せやのに…っやのに……!!」
もっと大きくなりたい。もっと大人になりたい。
そんで、棗にアリスストーンを…!早く 早く!お願い…っ

『……みか、ん…』
神様の、あほう…!


END
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とりあえず棗のそばにいてやれ!とつっこんでやりたいところですがどうしても必死にアリスストーンを作ろうとする蜜柑が書きたかったので、ごめんなさい。
ってか死ぬ間近も体温って低いもんなんですかね。まあそんなこと気にせずに。
アリスストーンってどうやって作るんだろ。なんか適当に考えちゃったけど。なんかもう感情任せっていうかもう微妙な作品ですハイ!もう意味不明すぎて思わず踊っちゃいます!僕フエ吹いちゃいます!(落ち着け)なんかすらすらと書けなかったしこの小説ダメです!棗死んだの?死ななかったの?好きな方で!!(ぉ)もう逃げます…(ぁ)